2011 Fiscal Year Research-status Report
悪性リンパ腫内に浸潤するマクロファージでの特性と予後についての検討
Project/Area Number |
23790398
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
和田 直樹 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (80521731)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 悪性リンパ腫 |
Research Abstract |
腫瘍内に浸潤する組織球 (tumor-associated macrophage: TAM)はM1型とM2型に分けられ、M1-TAMは主としてtumor suppressiveに、M2-TAMは主としてtumor progressiveに働いていると考えられているが、悪性リンパ腫におけるその役割は確定していない。そこで、びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫 (DLBCL), ホジキンリンパ腫 (HL)についてM1-TAM, M2-TAMの役割を検討した。DLBCL101例の検討において、CD68+/CD163+(二重免疫染色)を示すM2-TAMが多いと有意に予後不良であった。DLBCLのうち既存リンパ濾胞を残しながら濾胞間領域で増殖するDLBCL (DLBCL-IF)31例の検討において、DLBCL-IFは通常の組織所見を示すDLBCLより有意に予後良好であった。また、polymorphousな細胞浸潤を伴うDLBCL-IF16例の検討において、M2-TAMの少ない患者は全て観察終了時点(観察期間; 8~42.5ヶ月, 中央値; 22.3ヶ月)で生存していた。HL82例の検討において、M2-TAMが多いと有意に予後不良であった。また、HLのうち混合細胞型に限定すると、M1-TAM[CD68+/HLA-DR+(二重免疫染色)]が多い混合細胞型HLは有意に予後良好であった。DLBCL, HLにおいてM2-TAMはtumor progressiveに働いていると考えられ、混合細胞型HLにおいてM1-TAMはtumor suppressiveに働いていると考えられる。DLBCL, HL, 混合細胞型HLにおいてM1-TAM, M2-TAMを評価すれば予後予測が可能であり、臨床的に意義深いと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
DLBCL, DLBCL-IF, HLにおけるTAMの働きを目的通り検討することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
他のリンパ腫、例えばDLBCLのうち腫瘍内に大量の類上皮細胞のクラスターの出現するDLBCL (lymphoepithelioid B-cell lymphoma)などについてM1-TAM, M2-TAMの役割を調べる。論文発表、学会発表を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
M1-TAM, M2-TAMの役割を調べるうえでかかる費用は、消耗品、特に試薬代が大部分を占め、主に抗体・発色試薬・抗原賦活剤を必要とする。論文発表、学会発表のためにも研究費を使用する。
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