2011 Fiscal Year Research-status Report
分泌型microRNAを介した胃癌間質相互作用と上皮間葉転換(EMT)
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23790403
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
坂本 直也 広島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 特任助教 (20571798)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 分泌型microRNA / 胃がん / 上皮間葉転換 |
Research Abstract |
本検討では癌間質におけるmiRNA発現情報を網羅的、体系的に解析し、分泌型microRNA (miRNA)の胃癌における癌間質相互作用と上皮間葉転換(EMT)における役割を明らかにすることを目的とした。まず様々な組織型からなる胃癌切除症例20例の腫瘍部を用いて、マイクロアレイを用いて188種のmiRNAの発現レベルを解析し、他の組織型と比較してスキルス胃癌で発現が亢進しているmiRNAとして、miR-143、miR-145を同定した。同一サンプルを用いてqRT-PCRでも検討を行ったところ、同様の傾向が確認された。9種の胃癌細胞株、同一患者から樹立された4種の正常胃粘膜部間質由来線維芽細胞株(Nf)及び胃癌部間質由来線維芽細胞株(Caf)におけるmiR-143、miR-145の発現を検討したところ、胃癌細胞株と比較して線維芽細胞株では高いレベルの発現が認められた。またNfと比較し、Cafでは2-5倍程度の高い発現を示した。胃癌細胞株に対して脱メチル化剤(5-Aza)処理を行うと、miR-143、miR-145の発現レベルの回復が見られたことから、胃癌細胞株におけるmiR-143、miR-145の発現低下へのDNAメチル化の関与が推測された。さらにELISAによる培養液中の分泌分子の検討では、胃癌細胞株にmiR-143を強制発現させることによって、TGF-βの分泌量が低下することを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
申請書に本研究の特色として挙げた3点のうち、(1)癌細胞、線維芽細胞の供培養後と、癌細胞、線維芽細胞各々を培養した場合の細胞内及び培養液中のmiRNAを比較する点、(3)癌間質相互作用の中でも特にEMTに焦点を絞って詳細な検討を行う点、に関しては、計画に基づいて検討を進めている。しかし、(2)間質細胞を抗体を用いて細かく分離し、各コンポーネントにおいて遺伝子及びmiRNAの発現を網羅的に解析する点、に関しては、現在も検討を行っているが、まとまったデータを得るに至っていない。以上より、やや遅れていると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
基本的には、本年度と同様に申請書類に記載した内容に関して検討を行うものとする。近年分泌型miRNAはexosome中に豊富に含まれており、exosomeを介してmiRNAの授受が行われるという報告が相次いでいる。回収したexosome分画を培養液中に添加した際の胃癌細胞への取り込みに関して、先行論文(Commun. Integr. Biol. 2010 Sep-Oct: 3(5): 471-481)にならってPKH67の標識によって検討する。またmiR-143、miR-145の細胞内への取り込みをモニターできる実験系(GFP-tagged vector等)を用いて、強制発現系での詳細な検討を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
一般試薬としてはピペットチップ、エッペンドルフチューブの他、各種Buffer作成のための試薬が該当し、遺伝子工学試薬としては各種primer、制限酵素、逆転写酵素等が該当する。PCR消耗品としては、taq polymeraseやqRT-PCRで使用するSYBR GREEN等が該当する。また解析対象とした分子の組織学的な検討のために、免疫組織学的な検討が必要であり、一次抗体、二次抗体、発色試薬等を組織染色試薬として購入する予定である。
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Research Products
(15 results)