2011 Fiscal Year Research-status Report
肺癌における免疫染色を用いた新しいEGFR遺伝子変異検出法の確立
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23790425
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
河原 明彦 久留米大学, 大学病院, その他 (00469347)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | EGFR 遺伝子変異 / 免疫組織・細胞化学 / 分子病理学 |
Research Abstract |
上皮増殖因子受容体(Epidermal growth factor receptor: EGFR)の遺伝子変異の有無は、肺癌患者の治療方針決定のための重要な要素となっており,我々は1)免疫組織/細胞化学を用いて迅速なEGFR遺伝子変異検出のためのアルゴリズムの確立および2)体腔液における原発/再発肺癌患者のEGFR遺伝子変異の確認を中心に研究を進めている.1)に関して治療効果を含めたデータ解析を行うため,時間を費やすことが予め分かっていたため,平成23年度は2)を中心に研究結果を英文報告した(Kawahara et al. Lung cancer 2011).肺癌患者においてgefitinibあるいはelrotinibを長期投与後,新たに耐性遺伝子(T790M)を獲得することが知られている.しかしながら,このような獲得変異の出現は治療耐性患者の5~6割程度であり,その他の再発患者がどのような遺伝子変異の変化を呈しているのか,明らかになっていない.我々は原発巣においてEGFR遺伝子変異陽性であった肺癌患者の再発腹水を用いてEGFR遺伝子変異の推移を検討した.結果は再発肺癌患者において,1.耐性遺伝子を伴う肺癌患者,2.EGFR遺伝子変異のみを伴う肺癌患者,3.EGFR遺伝子変異を伴わない肺癌患者のように3群に分けることができ,肺癌再発後の治療方法に対する重要な結果を報告することができた.また,現在EGFR遺伝子変異検索は1患者1回と定められているが,再発後のEGFR遺伝子変異検索の必要性も明らかにすることができた.今後の研究は,1)について解析を終了させ,さらに細胞検体の固定法に着目し適切なEGFR遺伝子変異検査の運用方法について追加実験を行いたい.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していた研究の約半分は達成できている.論文報告もできているので順調に進展していると考える.
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Strategy for Future Research Activity |
主の研究課題である「免疫組織/細胞化学を用いて迅速なEGFR遺伝子変異検出のためのアルゴリズムの確立」を完結させる.データはほぼ解析し終えたので,発表・論文報告を行いたい.但し,この研究の中で,細胞検体の固定法に関する課題が出てきたので,追加実験を行いたい.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
EGFR遺伝子変異抗体の判定において,Positive, Negativeおよびequivocalの3つに分けけることを提唱した.その結果,EGFR遺伝子変異抗体Positive患者は,Negativeおよびequivocal患者に比べゲフィチニブの効果に大きな違いがあることが,統計学的解析により明らかになった.しかしながら,この中で細胞材料のequivocal判定が多いことが判明した.免疫組織・細胞化学の判定は固定による影響を受けるため,蛋白の保持の再検証を行わなければならない.次に我々が行う実験は,培養細胞を用いて,固定法によるEGFR遺伝子変異およびEGFRタンパク発現の影響を調査する.そのため,現在流通している液状細胞診固定液や中性緩衝ホルマリンおよびこれらの解析に必要となる消耗品を随時購入する.研究成果については,国内および国際発表する.可能ならば,欧州におけるEGFR遺伝子変異検出あるいは肺癌診断の現状について体験し,本研究に役立てたい.
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Research Products
(3 results)