2011 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトアルツハイマー病剖検脳におけるセレクチン-糖鎖発現解析
Project/Area Number |
23790426
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Research Institution | National Center for Geriatrics and Gerontology |
Principal Investigator |
星野 瞳 国立長寿医療研究センター, アルツハイマー病研究部, 流動研究員 (90500710)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2012-03-31
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Keywords | アルツハイマー病 / 脳 / 糖鎖 / セレクチン |
Research Abstract |
本年度は、細胞の組織内浸潤に関わる細胞表面接着分子セレクチンのアルツハイマー病脳における関与を解明するため、(1)ヒトの剖検脳におけるセレクチン分子発現解析、(2)アルツハイマー病モデルマウスと野生型コントロール群の脳に発現する接着分子の解析、(3)セレクチン糖鎖リガンドを欠損したアルツハイマー病モデルマウスの作製を行なった。 (1)研究協力者より提供された非認知症およびアルツハイマー病のヒト剖検脳サンプルにおけるセレクチンの発現変動を解析した。アルツハイマー病剖検脳嗅内皮質におけるセレクチン分子の発現上昇をウェスタンブロット法により明らかにした。(2)ヒトAPP遺伝子をもった遺伝子改変マウスAPP-Tg(アルツハイマー病モデルマウス)とNon-Tgコントロールマウス群の脳からtotal RNAを調整し、リアルタイムPCR法を用いて解析を行なった。その結果、APP-Tgマウスにおける単球、活性型アストロサイトのマーカー分子とセレクチンの増加を確認した。(3)セレクチン認識糖鎖合成酵素欠損マウスとAPP-Tgマウスを掛け合わせ、両者の表現型を併せもつマウスの作製を試みた。当該マウスの作製に成功した。これらのマウスは現在、アルツハイマー病変が観察される月齢まで加齢育成を行なっている。免疫組織化学染色法により表現型の解析を行なう。 以上の結果より、アルツハイマー病脳において細胞表面セレクチンの発現とその機能的関与が考えられるが、より明確に証明するためには、加齢育成中であるセレクチン糖鎖リガンドを欠損したアルツハイマー病モデルマウスの表現型解析が望まれた。
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