2012 Fiscal Year Annual Research Report
骨髄移植に伴うCD4T細胞依存的な骨芽細胞性造血ニッチ障害の分子機序解明
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23790432
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
上羽 悟史 東京大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00447385)
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Keywords | 炎症 / 移植免疫 / 造血幹細胞 / GVHD / 骨芽細胞 |
Research Abstract |
これまでの研究により、GVHD誘導マウスの骨髄では、急性期には骨芽細胞のみならず、間葉系幹細胞や線維芽細胞も著減することが明らかになった。これらの結果は、骨髄GVHDにおける骨芽細胞障害機序として、ドナーT細胞による直接的な宿主骨芽細胞への細胞死誘導や増殖阻害のみならず、間葉系幹細胞や骨系前駆細胞などの骨芽細胞前駆細胞におけるアポトーシス、増殖抑制もしくは分化・成熟障害なども関与しうることを示唆している。 今年度は、骨髄GVHDにおけるドナーT細胞による骨芽細胞障害の細胞・分子機序を明らかにするため、GVHDマウスより調整したallo-T細胞と、間葉系幹細胞株C3H10、および骨系前駆細胞株MC3T3との共培養系を確立した。ナイーブT細胞は抗CD3抗体による活性化刺激の有無にかかわらず、骨芽細胞誘導条件で培養したMC3T3の分化・成熟に影響を与えなかったが、allo-T細胞はCD3刺激依存的にOsterix、Runx2、アルカリフォスフォターゼといった骨芽細胞分化マーカーの発現上昇を阻害した。また、細胞周期およびアポトーシスへの影響を解析したところ、allo-CD4+T細胞はCD3刺激依存的にC3H10およびMC3T3にアポトーシスを誘導し、またMC3T3選択的に細胞周期を抑制した。これらの結果は、allo-CD4+T細胞が間葉系幹細胞および骨系前駆細胞へ活性化依存的にアポトーシスを誘導し、さらに骨系細胞選択的に増殖・分化を抑制することで、骨髄GVHDにおける骨芽細胞障害を誘導していることを示唆するものである。包括的遺伝子発現解析から、allo-CD4+T細胞は骨芽細胞抑制因子や、TNFファミリーに属する細胞死、活性化、分化調節因子を高発現していることを見いだしており、今後骨髄GVHDの病態形成におけるこれらの因子の関与を検討する予定である。
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