2011 Fiscal Year Research-status Report
セントロメア低機能性マウスを用いた発がん機構の解明
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23790435
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Research Institution | Chiba Cancer Center (Research Institute) |
Principal Investigator |
奥村 和弘 千葉県がんセンター(研究所), その他部局等, 研究員 (80584680)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 染色体 / セントロメア / CENP-R / ノックアウトマウス / DMBA/TPA / 皮膚発がん |
Research Abstract |
これまでに染色体機能異常とがんの悪性化との間には密接な関係があると考えられてきた。しかし、その関係性を個体レベルで解析した報告はほとんどない。その要因として生命維持に重要であるこれらの機構に関する生育可能な遺伝子改変動物の作製が困難であったことが挙げられる。そんな中、我々は最近、染色体分配機構に重要であるセントロメアの低機能性変異マウスの作製に成功した。そこで、本研究は染色体が不安定化しやすい状況下でのがん化過程の分子機構を明らかにするために、セントロメア構成タンパク質であるCENP-Rノックアウトマウスを用いて発がん実験を行った。発がん実験には二種類の化学発がん剤であるDMBA-TPAによる皮膚多段階発がんのモデルを用いた。まず、野生型マウスの正常皮膚、発がん実験で誘導した良性腫瘍(パピローマ)および悪性腫瘍(扁平上皮がん)からRNAを抽出し、定量的RT-PCRにより、CENP-Rの発現挙動を調査した結果、CENP-Rはがんが悪性化するにつれ、発現が減少していた。このことから、CENP-Rノックアウトマウスは発がん誘導に対して感受性が高いことが予測された。そこで、CENP-Rノックアウトマウスを約30頭、野生型マウスを約20頭作製し、合計50頭のマウスにDMBA/TPAによる皮膚発がん実験を開始している。現在誘導開始10週目であるが、すでにCENP-Rノックアウトマウスにパピローマが発症することを確認している。さらに、10週目までに野生型マウス1頭あたりの腫瘍数平均5.66±4.08であるのに対し、CENP-Rノックアウトマウスでは平均10.33±6.30であり、現段階で発症している腫瘍数が約2倍多いことが明らかとなった。今後は発がん実験を継続していくとともに、免疫組織化学的解析を中心に、個体レベルの染色体不安定性とがんの分子機構を明らかにしていきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までに、23年度の目標であるCENP-Rノックアウトマウス20-30頭作製し、DMBA/TPAによる発がん実験を開始する予定はほぼ100%達成された。また、発がん実験で懸念していた、腫瘍形成においてもDMBA/TPAによる皮膚発がん実験で可能であることが明らかになり、モデルの確立が達成できたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
申請した研究計画どおり、現在進行中のDMBA/TPAによる皮膚多段階発がん実験を継続しておこない、腫瘍数、サイズ、発症率等をCENP-Rノックアウトマウスと野生型マウスで比較する予定である。さらに、発がん誘導した良性腫瘍(パピローマ)、悪性(扁平上皮がん)および転移腫瘍(リンパ腫、筋肉性腫瘍)をすべて回収し、組織切片を作成後、免疫組織化学的解析を行う。具体的には、各種セントロメア構成タンパク質の抗体、増殖細胞マーカー(Ki-67抗体)およびアポトーシスマーカー(TUNEL染色)を用いてセントロメア構成タンパクと発がん機構の関連性を調査する。また、回収した腫瘍から、タンパクおよびRNAを抽出し、WBおよびRT-PCRでCENP-Rの発現パターンを詳細に解析する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
23年度と同様に、研究費のすべてを消耗品などの物品費に計上する予定であり、大型機器類の購入予定はない。
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