2012 Fiscal Year Annual Research Report
動物モデルを用いた腹膜悪性中皮腫におけるmicroRNAの役割
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23790440
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
岡崎 泰昌 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (30403489)
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Keywords | 中皮腫 / 鉄化合物 / 酸化ストレス |
Research Abstract |
悪性中皮腫はアスベスト吸入と疫学的に相関があり、進行した状態で発見されることが多い予後不良な疾患である。本邦ではアスベストの商業利用は原則禁止されたものの、本邦での中皮腫発症のピークは、2025-2030年頃が推測されており、今後も患者が増加することが危惧されている疾患である。商業的に利用されてきたアスベスト繊維は3種類に大別され、疫学的に鉄含有量が高いアスベスト繊維ほど、発がん性が高い。またアスベスト繊維から発がんに至る原因として、①鉄を介した酸化ストレス、②染色体不分離、③発がん分子吸着、④慢性炎症などが考えられている。報告者の所属する研究室では、独自の研究モデルである鉄化合物誘発腹膜中皮腫を用い、中皮腫を誘発した。悪性中皮腫は組織学的に、上皮型、二相型、肉腫型に大別され、肉腫型が最も臨床経過が早く予後が悪い。そのため、肉腫型に特徴的なmicroRNAの同定と機能解析を通じて、診断や治療につながる分子の同定が期待できる。予備実験のマイクロアレイから、鉄化合物誘発ラット肉腫型腹膜悪性中皮腫に特徴的なmicroRNA(miRNA)としてmiRNA-199/214 を同定し、本研究助成によりmiRNA-199/214の上昇をreal-time PCR, ISH で明らかにした。miRNA-199/214 の転写因子であるTwist-1 の発現を肉腫型に認め、アスベスト誘発ラット腹膜中皮腫と培養細胞株でも肉腫型にTwist-1の発現を認めた。不死化中皮細胞へのmiRNA-199/214遺伝子導入株は細胞増殖の促進と細胞移動の上昇を認め、miRNA-199/214は、機能性分子であることを明らかにした。
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