2012 Fiscal Year Annual Research Report
インフルエンザウィルス感染に併発する細菌性肺炎のエピジェネティクス解析
Project/Area Number |
23790445
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
伊藤 利洋 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 講師 (00595712)
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Keywords | インフルエンザウィルス / エピジェネティクス / 気道上皮細胞 / マクロファージ / 細菌性肺炎 |
Research Abstract |
インフルエンザウィルス感染症における死亡原因として、インフルエンザウィルス感染に併発する二次性細菌性肺炎が大きな要因である。本研究では、ウィルスおよび細菌感染時に初期生体防御に重要な役割を果たす気道上皮細胞ならびに自然免疫を担うマクロファージに焦点をあて、エピジェネティクスの観点からインフルエンザウィルス感染ならびにそれに併発する細菌感染への免疫力低下のメカニズムを明らかにすることを目的とした。 はじめにマイクロアレイシステムを用いた解析にて、IFN-Iまたはインフルエンザウィルスの刺激を受けた気道上皮細胞ならびにマクロファージはH3K9のメチル化(転写抑制)を誘導する酵素の一つであるSET domain, bifurcated 2 (SETDB2)の有意な上昇を認めたを見出した。その上昇はIFN-I依存性で、IFN-Iのレセプター欠損(IFN-αR KO)マウスでは、SETDB2の上昇は見られず、二次性細菌性肺炎の原因菌として最も頻度の高い肺炎球菌を用いて作成した二次性細菌性肺炎モデルでは、野生型 (WT) マウスと比較して有意な生存率の改善を認めた。 また、SETDB2をノックダウンした気道上皮細胞の解析では、SETDB2ノックダウン群ではH1N1刺激後にTNFαR発現の有意な上昇を認めた。細菌感染においてTNF-αは必須なサイトカインであり、SETDB2はTNF-αのシグナル伝達系に関与している事が示唆される。SETDB2のin vitro(気道上皮細胞、マクロファージ)ならびにin vivo(二次性細菌性肺炎モデル)におけるTNF-α産生ならびにシグナル伝達系への関与を検討中である。
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Research Products
(2 results)