2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23790448
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
山口 章 横浜市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 客員研究員 (20381585)
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Keywords | ライソゾーム病 / 自己抗体 / 炎症反応 / ケモカイン |
Research Abstract |
ライソゾーム病の一つであるサンドホフ病(SD) は、ライソゾーム酵素の遺伝的欠損により、その基質である糖脂質が蓄積し、神経症状を呈して死亡する難病である。近年の研究で、この病態の進行には中枢神経系で起きている炎症反応が深く関与していることが報告されており、その炎症反応は細胞へのガングリオシドの蓄積以外の要因により引き起こされることが示唆されている。 現在まで我々は、SDにおいて代謝できないガングリオシドに対して自己抗体が産生されており、これら自己抗体がこの病態の進行に深く関与していることを見出した。また、中枢神経系において、病気の進行と共に組織特異的自己免疫疾患においてその病変部で発現が認められるB細胞遊走性ケモカインCXCL-13の高発現を確認し、その発現の局在を免疫染色法で解析した結果、主に神経細胞の脱落が見られる脳幹部分のグリア細胞で発現していることを確認した。 本年度はhexb-/-マウス(SDマウス)とcxcl-13-/-マウスを交配し、ダブルノックアウトマウス(cxclDKOマウス)を作成し解析を進めた。作成されたcxclDKOマウスでは、中枢神経における神経細胞の減少、プルキンエ細胞の変性が同週齢のSDマウスと比較して抑制されていることが確認できた。また、運動能、寿命についてもSDマウスと比較して改善することが確認された。また、SD、SDマウスでは病態の進行と共は自己抗体による抗原抗体反応の影響により、胸腺のリンパ球が減少し萎縮することが知られている。cxclDKOマウスでは自己抗体の産生が抑制されると示唆されることから、同週齢のSDマウスと比較して胸腺での異常が顕著に改善することを見出した。 これらのことから、SDおける病態の進行は、抗原抗体反応を介した免疫システムの影響を強く受けており、この免疫システムを改善することによりSDの病態が緩和する可能性が見出された。
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