2011 Fiscal Year Research-status Report
重症マラリア病態形成機構に関わる因子の同定と宿主-寄生体相互作用の解析
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23790457
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
畑生 俊光 岡山大学, 自然科学研究科, 准教授 (60344917)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 重症マラリア / 宿主-寄生体相互作用 / スカベンジャー受容体 / 免疫修飾 |
Research Abstract |
当該研究年度では、(1)ネズミマラリア原虫感染モデルを用いた重症マラリア病態形成機構の解析、(2)SRに対するPRBC表面分子の探索が計画であった。(1)については、過去の申請者の研究によりSRのうちMARCOおよびSR-Aについて知見を得ていたが、新たにSRCL, FEELについても臓器毎のmRNA発現パターンについて知見を得た。SRCLについてはウエスタンブロット法により臓器毎のタンパク発現パターンについても解析を行い、感染の有無に関わらず発現していることを確認した。臓器内での発現部位について知見を得るために、現在凍結組織およびホルマリン組織を用いた免疫組織学的解析を進めている。また、Toll-like受容体については、ネズミマラリア原虫感染により脳においてTLR2,TLR6 mRNA発現が認められたことから、これらについて遺伝子導入THP-1細胞の作製を行い、細胞株を得たところである。(2)については、過去の申請者の研究で同定済みSRに関して、報告のあったHSPおよびHMGB1にターゲットを絞り研究を行った。まず、報告のあった細菌類の当該タンパク質アミノ酸配列をモチーフとして熱帯熱マラリア原虫のデータベース上で相同タンパク質の存在を確認したところ活性部位の保存された相同性の高いタンパク質配列の存在が確認された。そこで、データベース上の配列を基に大腸菌にて組換え体タンパク質の作製を行い、HSPおよびHMGB1の精製タンパク質を得たので生理活性の測定を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究目的である(1)ネズミマラリア原虫感染モデルを利用した臓器毎のSR発現部位、発現パターンの解析についてはRT-PCR,ウエスタンブロットにより確認し、現在免疫組織学的解析を進めている最中である。またSRと協調する宿主因子としてはToll-like受容体の可能性が高く、Toll-like受容体のネズミマラリア原虫感染モデルにおける臓器毎の発現パターンの解析を進めている。(2)膜結合型ケモカインおよびSRに対するPRBC側リガンドの同定については、PRBC側のターゲットタンパク質を絞り込んだ上で組換え体タンパク質の作製まで進行しており、24年度には宿主細胞への影響評価を行う上で必要なツールが準備できたと認識している。よって交付申請書に記載した「研究目的」の達成度としてはおおむね順調に進展していると認識している。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)研究計画に従い、ネズミマラリア原虫感染モデルを用いたSRの発現部位について引き続き免疫組織科学的解析を進める。また、ネズミマラリア原虫感染モデルを用いた末梢血単核球の遺伝子発現プロファイルについて検討する。(2)研究計画に従い、原虫のHSPおよびHMGB1組換え体タンパク質の生理活性を確認した後、ヒト貪食細胞株培養系に添加して、サイトカイン産生・遺伝子発現プロファイル・貪食機能等への影響を評価する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ネズミマラリア原虫感染モデルを利用した末梢血単核球遺伝子発現プロファイルの検討を行うためにマイクロアレイチップの購入およびマウスの購入に研究費の約半分を使用する。残りの研究費については、細胞培養、組換え体タンパク質作製や免疫組織科学的解析に関わる経費並びに論文作成・学会発表など成果報告に使用する予定である。
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Research Products
(3 results)