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2012 Fiscal Year Research-status Report

動物寄生線虫の持つ細菌様フェロケラターゼ(鉄挿入酵素)の解析

Research Project

Project/Area Number 23790461
Research InstitutionUniversity of Miyazaki

Principal Investigator

長安 英治  宮崎大学, 医学部, 助教 (20524193)

Keywords糞線虫 / 寄生虫 / 寄生性線虫 / フェロケラターゼ / ヘム
Research Abstract

1. フェロケラターゼ(FeCH)を含む7種類のヘム合成系遺伝子の存在の有無について、これまで全ゲノム配列が明らかになっている9種の線虫種のゲノムデータベース、および62種の線虫種を含むトランスクリプトームデータベスを検索した。その結果、(1)完全なヘム合成系を持つ線虫種は存在せず、ヘム合成系遺伝子の全てを欠損する線虫種が過半であった。(2)ALAD (aminolevulinic acid dehydratase)、UROD (uroporphyrinogen decarboxylase)、CPOX (coproporphyrinogen oxidase)を保持するいくつかの線虫種が生活様式(自由生活/寄生生活)を問わず見いだされた。(3)フェロケラターゼは動物の寄生虫であるフィラリア類と糞線虫にしか見いだされなかった。
2. 昨年度に作成した、Maximum likelihood (ML)法を用いたFeCHアミノ酸配列の系統樹に引き続き、ベイズ法を用いた系統樹を作成した。両方から得られた樹形はほぼ完全に一致し、線虫FeCHのクレードはその他オピストコント(動物+真菌)のクレードから遠く離れ、αプロテオバクテリアのクレード近傍に位置した。
3. 以上の結果から、1)線虫類はその進化上かなり早い時期に大部分のヘム合成系酵素遺伝子群を喪失した。一部の寄生動物寄生性線虫は何らかの必要性により、フェロケラターゼ遺伝子をαプロテオバクテリアからの遺伝子水平伝播により会得したという進化シナリオが推定された。
4. FeCH遺伝子の発現パターンをリアルタイムRT-PCRにより観察した。FeCHは糞線虫の発育における様々なステージで発現するものの、感染幼虫(L3i)では極端に発現量が低く、これは本ステージが基本的に耐久性のステージであり、全般的な代謝活動が非常に低いことによるものと考えられた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

予定していた、抗体を用いた糞線虫フェロケラターゼの局在解析の実験が遅れている。これは、作成したウサギ抗糞線虫FeCH抗血清の特異性が完全ではなく、アフィニティー精製の必要が生じたためである。また、精製のために必要な大腸菌組み換えタンパクを得るのに非常に難渋したことも大きな要因である。

Strategy for Future Research Activity

1. 次年度はまず、抗糞線虫フェロケラターゼ抗体を精製するためのアフィニティークロマトグラフィーを行う。そのために必要な組み換えタンパクは、これまで大腸菌発現系で、十分量のタンパクを会得することができなかったことから、小麦胚芽無細胞タンパク合成系を試みる。得られた抗体を用い、糞線虫フェロケラターゼの発現部位を特定する
2. フェロケラターゼが糞線虫の生存にとって必須のものであるかどうかを確認するため、阻害剤を用いたin vitro アッセイを行う。
3. 線虫類として例外的に存在するフェロケラターゼの解析に、これまで我々はベネズエラ糞線虫というラットを自然宿主とする糞線虫を材料に研究を進めてきた。次年度においては、さらにヒトを宿主とする糞線虫種であるStrongyloides stercoralisからフェロケラターゼ配列を取得し、組み換えタンパクを作成し、阻害剤の効果を確認する。また、地理的に由来の異なる様々なヒト糞線虫株のフェロケラターゼ配列を比較し、その多様性の程度を調べ、フェロケラターゼをターゲットとした抗線虫薬開発のための情報として用いる。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

次年度においては、上記の研究計画を遂行するために必要な試薬、消耗品を購入する。また、様々な地理的由来をもつヒト糞線虫株を入手するため、必要に応じ、各地の医療機関の検査部門を訪問し、ヒト患者由来の虫体の採取を行う予定で、そのための旅費の支出を行う。また、関連学会における研究成果発表を行うための旅費への支出を行う。

  • Research Products

    (8 results)

All 2013 2012

All Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 2 results) Presentation (6 results)

  • [Journal Article] Transcriptomic analysis of four developmental stages of Strongyloides venezuelensis2013

    • Author(s)
      Nagayasu E, Ogura Y, Itoh T, Yoshida A, Chakraborty G, Hayashi T, Maruyama H
    • Journal Title

      Parasitology International

      Volume: 62(1) Pages: 57-65

    • DOI

      10.1016/j.parint.2012.09.006

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] Identification of a Bacteria-Like Ferrochelatase in Strongyloides venezuelensis, an Animal Parasitic Nematode2013

    • Author(s)
      Nagayasu E, Ishikawa SA, Taketani S, Chakraborty G, Yoshida A, Inagaki Y, Maruyama H
    • Journal Title

      PLoS One

      Volume: 8(3) Pages: 1-11

    • DOI

      10.1371/journal.pone.0058458

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] Genome and transcriptome analysis of Strongyloides venezuelensis, an animal parasitic nematode2013

    • Author(s)
      Nagayasu E, Ogura Y, Ito T, Yoshida I, Chakraborty G, Hayashi T, Maruyama H
    • Organizer
      International Symposium on Genome Science “Expanding Frontiers of Genome Science
    • Place of Presentation
      東京都
    • Year and Date
      20130109-20130110
  • [Presentation] ゲノム概要配列が未知の寄生虫研究における次世代型シーケンサの活用法2012

    • Author(s)
      長安英治、小椋義俊、伊藤武彦、吉田彩子、林哲也、丸山治彦
    • Organizer
      第10回日本寄生虫学会東日本支部会、第10回分子寄生虫マラリアフォーラム合同大会
    • Place of Presentation
      前橋市
    • Year and Date
      20121012-20121013
  • [Presentation] ゲノム/トランスクリプトーム情報に基づく動物寄生関連遺伝子の検索2012

    • Author(s)
      長安英治、丸山治彦: ゲノム/トランスクリプトーム情報に基づく動物寄生関連遺伝子の検索
    • Organizer
      第10回日本寄生虫学会東日本支部会、第10回分子寄生虫マラリアフォーラム合同大会
    • Place of Presentation
      前橋市
    • Year and Date
      20121012-20121013
  • [Presentation] Bacteria-like ferrochelatase in animal parasitic nematodes2012

    • Author(s)
      Nagayasu E, Ishikawa S, Taketani S, Chakraborty G, Yoshida A, Inagaki, Y, Maruyama
    • Organizer
      The 11th Awaji International Forum on Infection and Immunity
    • Place of Presentation
      淡路市
    • Year and Date
      20120911-20120914
  • [Presentation] 線虫類における動物寄生関連遺伝子の探索2012

    • Author(s)
      長安英治、丸山治彦
    • Organizer
      第20回分子寄生虫ワークショップ
    • Place of Presentation
      神戸市
    • Year and Date
      20120826-20120829
  • [Presentation] ベネズエラ糞線虫第3期幼虫の発育再開時における遺伝子発現解析2012

    • Author(s)
      長安英治、小椋義俊、伊藤武彦、吉田彩子、林哲也、丸山治彦
    • Organizer
      第82回日本寄生虫学会大会
    • Place of Presentation
      東京都
    • Year and Date
      20120329-20120331

URL: 

Published: 2014-07-24  

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