2011 Fiscal Year Research-status Report
イメージ解析とプロテオミクスによる結核菌ファゴソームにおける小胞輸送の包括的解析
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23790473
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
瀬戸 真太郎 浜松医科大学, 医学部, 助教 (50383203)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 結核菌 / マクロファージ / オートファジー |
Research Abstract |
結核菌は典型的な細胞内寄生性細菌である。結核菌はヒトの肺に感染すると、肺胞マクロファージによって貪食されるが、貪食されたマクロファージ内で増殖することができる。この細胞内増殖能は結核菌によるファゴリソソーム形成阻害機構に依存していると言われている。これまでの研究では、Coronin 1a(Coro1a)が、結核菌ファゴソームに局在することによって、ファゴリソソーム形成の阻害が行われていることが示されている。Coro1aノックアウトマウス由来マクロファージやノックダウンマクロファージにおいて、結核菌ファゴソームとリソソームの融合が促進されて、その結果、結核菌の増殖は阻害されることが示されている。しかし、Coro1aによる結核菌ファゴソームのファゴリソソーム形成阻害機構の詳細はいまだ明らかになっていない。本研究において、Coro1aノックダウン(KD)マクロファージにおける結核菌増殖阻害機構にオートファジーが関与していることを明らかにした。さらに、Coro1a KDマクロファージにおいて、結核菌ファゴソームにオートファゴソーム形成が促進されることをイメージ解析と生化学的解析によって明らかにした。結核菌ファゴソームにポリユビキチン化、p62、LMAP1が局在すことを明らかにした。このことはCoro1a KDマクロファージにおいて、オートファゴソーム成熟が進行していることを示す。肺胞マクロファージや骨髄由来マクロファージに感染した結核菌ファゴソームにも、Coro1a発現を減少させることによってオートファゴソーム形成を促進させることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、イメージ解析とプロテオミクスによって新しい結核菌ファゴソーム像の構築を行うことである。これまで他の研究者によって明らかにされてきた事実である、(a) Coronin-1aノックダウンマクロファージにおいて、結核菌増殖は阻害される、(b) 結核菌感染マクロファージにおいてオートファジー誘導によって結核菌増殖は阻害される、ことに関して、その相互関係はまったく明らかになっていなかった。今年度の研究によって、結核菌の細胞増殖がCoronin-1aノックダウンマクロファージで阻害される原因としてオートファジー誘導が関与していることをイメージ解析とプロテオミクス解析によって明らかにすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
結核菌感染マクロファージにおけるオートファジー誘導機構の詳細をさらに明らかにする。具体的には結核菌ファゴソームにオートファゴソームを誘導するアダプタータンパク質をイメージ解析とプロテオミクス解析によって明らかにする。また、オートファジーを誘導することができるリコンビナントBCG株の作成をおこなう。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
おもに、物品費、旅費に使用する。特にリコンビナントBCG株作成のために人工遺伝子を作成する。
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