2012 Fiscal Year Annual Research Report
既存血清型では分類できない腸管出血性大腸菌の網羅的解析
Project/Area Number |
23790477
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
井口 純 宮崎大学, 学内共同利用施設等, 助教 (00437948)
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Keywords | 腸管出血性大腸菌 / O血清群 |
Research Abstract |
日本で分離された腸管出血性大腸菌(EHEC)で、既存のO抗原型では分類できない(OUT)7株についてO抗原コード領域の塩基配列を決定した。相同性検索・解析をおこなったところ、2株はそれぞれShigella boydii type 10およびtype13のO抗原コード領域と高い相同性があり(塩基配列の相同性が95%以上)、2株はそれぞれ大腸菌O48およびO76と一部が相同であった(89~98%)。そして残る3株は新規のO抗原コード領域であった。それぞれのO抗原コード領域を特異的に検出するPCR法を開発し、2007年から2010年に分離されたEHEC OUT株に対してPCRを行ったところ、S. boydii type 10と相同なO抗原コード領域を保有する(OSB10)EHEC株が11株検出された。ハウスキーピング遺伝子の配列比較により、O抗原コード領域配列決定株を含めた12株は単一クローンであることが明らかとなった。12株のうち2株は下痢患者より分離されており、それ以外は無症状者由来であった。全12株の制限酵素XbaI消化によるパルスフィールドゲル電気泳動パターンの解析を行ったところ、家族内感染であると予想された3株と2株を除いては、バンドパターンに明らかな違いがあり、株間の疫学的な関連性は無いと判断された。後にOSB10は2011年に新しく追加された大腸菌O血清群O183に属する(O183と同一である)ことが確認された。他のOUT株についても今後の動向に注意が必要であり、本研究で開発したPCR法の利用が有効であると考えられた。
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Research Products
(1 results)