2012 Fiscal Year Annual Research Report
ボツリヌス毒素伝達機構の解明に向けたファージゲノムの解析
Project/Area Number |
23790479
|
Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
阪口 義彦 宮崎大学, IR推進機構, 助教 (70403491)
|
Keywords | ボツリヌス菌 / 人獣共通感染症 / ボツリヌス毒素遺伝子 / バクテリオファージ / 伝達 / ファージ変換 / ゲノム解析 / 構造タンパク質 |
Research Abstract |
C型ボツリヌス毒素産生菌は、家畜に強力な致死作用を引き起こすため、畜産分野では脅威となっている。C型毒素遺伝子は、バクテリオファージ(ファージ)により伝播される(ファージ変換)。以前に、C型毒素変換ファージc-stの全ゲノム解析を行った。しかしながら、その大部分の遺伝子情報は未知であった。毒素遺伝子のファージ変換防止には、ファージ遺伝情報の解明が必要である。本研究では、ファージコアゲノム領域の特定を行うことを目的とした。今年度は、1)c-stを構成する構造タンパク質をコードする遺伝子群の特定、2)同種ファージC型毒素変換ファージc-468との比較ゲノム解析を行い、ファージの生命維持に必要なコアゲノムの推定を行った。 1)c-stの構造タンパク質をコードする遺伝子群の特定…CsCl密度勾配遠心法によりc-stの粒子タンパク質を精製し、N末端アミノ酸分析と質量分析を用いて解析したところ、計10個のOpen Reading Frame (ORF)が同定された。これらのORFは全てc-stゲノム上の99-168 kbp領域に存在することが示唆された。 2)c-468との比較ゲノム解析…今年度は、昨年度に続き比較ゲノム解析に使用するc-468 ゲノムの全塩基配列の決定を行った。しかしながら、c-468には異なるサイズのゲノム分子が存在したため、新たにゲノム配列を決定する必要があると考えられた。従って、全ゲノム配列の決定は完全ではない。現在、C型有毒株C468の純培養を行い、得られた菌DNAを使用して宿主菌体内に存在するファージゲノム配列決定を次世代シークエンサーにより行っている。 今年度の結果から、C型毒素変換ファージの構造タンパク質をコードする遺伝子群を明らかにした。今後、解析を進めファージのコアゲノムを特定し、毒素遺伝子の伝播機構(ファージ変換)の解明を行いたい。
|
Research Products
(10 results)