2012 Fiscal Year Research-status Report
らい菌が宿主細胞と相互作用し細胞内寄生を成立させる分子機構の解明
Project/Area Number |
23790491
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Research Institution | National Research Institute for Child Health and Development |
Principal Investigator |
赤間 剛 独立行政法人国立成育医療研究センター, 薬剤治療研究部, 共同研究員 (20575253)
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Keywords | 感染症 / 細菌 / 免疫学 / 細胞・組織 |
Research Abstract |
らい菌は組織マクロファージを主な宿主とする代表的な細胞内寄生性細菌であるが、免疫反応の中枢であるマクロファージ内で寄生が成立する分子機構は不明である。そこで、らい菌感染時における菌と宿主の相互作用を明らかにするために種々の検討を行った。らい菌の細胞壁成分であるペプチドグリカンはToll様受容体2 (TLR2)のリガンドであり、その結果NF-kBを誘導し種々のサイトカイン分泌をするなどの自然免疫反応を活性化させる。ところが、ペプチドグリカンとともにらい菌生菌を感染させると、そのような自然免疫活性化が逆に抑制されることが判明した。すなわち、らい菌は未知のメカニズムによって宿主マクロファージの自然免疫活性化を抑制することが細胞内寄生を可能にするメカニズムの1つであると考えられた。また、らい菌の細胞内生存にはファゴゾーム内に豊富な脂質の蓄積を誘導することと密接な関係があると考えられているが、ペプチドグリカンによる自然免疫活性化はファゴゾーム内脂質蓄積を抑制するような宿主遺伝子発現変化を誘導した。ところが、同時にらい菌生菌を感染させるとその作用が打ち消され、ファゴゾーム内脂質の蓄積が誘導されることが明らかとなった。そのような作用は、らい菌の加熱死菌やラテックスビーズでは見られなかった。さらに詳細に菌と宿主間の相互作用を明らかにするために、菌数や感染時間などを種々の条件で変化させて宿主mRNAおよびタンパクを精製し、それらの発現変化をDNAマイクロアレイおよび質量分析によって繰り返し解析を行っている。これらのデータ解析が進むことによって、今後らい菌の細胞内寄生を可能とする分子機構の詳細が明らかになり、新たな診断や治療法の開発につながると期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
DNAマイクロアレイや質量分析による解析が完了していないが、らい菌の死菌には無く生菌だけが持つ特異な作用を明らかにすることが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
らい菌生菌感染時に特異的に変動する遺伝子、タンパク、および細胞内シグナルを解析することで、細胞内寄生を可能とする菌と宿主の相互作用の全体像を明らかにすることが出来ると考えられる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
らい菌感染に応答した遺伝子発現変動を、特にgene ontologyやクラスタリングによる相関解析によって検討し、細胞内寄生や免疫寛容などに重要な遺伝子を見出す。またこれらの遺伝子発現制御に至る細胞内シグナルを解析するために、質量分析によって細胞内タンパク質動態を明らかにする。
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[Presentation] Thyroglobulin induces thyroid cell growth through suppression of miR-16 and miR-195.2012
Author(s)
T. Akama, T. Hara T, D. Yang, A. Kawashima, A. Yoshihara, M. Sue, K. Tanigawa, H. Wu, Y. Ishido, N. Ishii and K. Suzuki.
Organizer
15th International Congress of Endocrinology
Place of Presentation
Florence, Italy
Year and Date
20120505-20120509