2013 Fiscal Year Annual Research Report
らい菌が宿主細胞と相互作用し細胞内寄生を成立させる分子機構の解明
Project/Area Number |
23790491
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Research Institution | National Research Institute for Child Health and Development |
Principal Investigator |
赤間 剛 独立行政法人国立成育医療研究センター, 薬剤治療研究部, 共同研究員 (20575253)
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Keywords | らい菌 / ハンセン病 / HSL / 免疫寛容 / ペプチドグリカン / マクロファージ |
Research Abstract |
ハンセン病の起因菌であるらい菌は組織マクロファージを主な宿主とする代表的な細胞内寄生性細菌であるが、免疫反応の中枢であるマクロファージに対する感染、細胞内での生存維持、増殖、免疫寛容を成立させる分子機構は不明である。そこでらい菌感染時における菌と宿主の相互作用を明らかにするために種々の検討を行った。らい菌の細胞壁成分であるペプチドグリカンはToll様受容体2 (TLR2)のリガンドであり、NF-kBを誘導し種々のサイトカインを分泌するなどの自然免疫反応を活性化させる。ところが、ペプチドグリカンと共にらい菌生菌を感染させると、そのような自然免疫活性化が逆に抑制されることが判明した。即ち、らい菌は未知のメカニズムによって宿主マクロファージの自然免疫活性化を抑制することにより細胞内寄生を可能にしていると考えられた。また、らい菌の細胞内生存能力はファゴゾーム内に豊富な脂質の蓄積を誘導することと密接な関係があると考えられているが、ペプチドグリカンによる自然免疫活性化はファゴゾーム内脂質蓄積を抑制するようなHormone Sensitive Lipase (HSL) に代表される宿主遺伝子発現変化を誘導した。ところが、同時にらい菌生菌を感染させるとその作用が打ち消され、ファゴゾーム内脂質の蓄積が誘導された。そのような作用は、らい菌の加熱死菌やラテックスビーズでは見られなかった。さらに詳細に菌と宿主間の相互作用を明らかにするために、菌数や感染時に関し種々の条件下で調製した宿主mRNAおよびタンパクをDNAマイクロアレイおよび質量分析によって解析を進めてきた。これまでにサイトカインとその受容体など免疫応答に関与する遺伝子の発現が変動することを見出した。さらにデータ解析を進めることによってらい菌の細胞内寄生を可能とする分子機構を解明し、新たな診断や治療法の開発につながることが期待される。
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Research Products
(1 results)