2012 Fiscal Year Annual Research Report
オーラシンアルカロイドが示す強い抗菌活性とその利用に向けた研究
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23790492
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
安武 義晃 独立行政法人産業技術総合研究所, 生物プロセス研究部門, 主任研究員 (20415756)
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Keywords | 抗生物質 / シトクロムP450 / 構造生物学 / 放線菌 / アルカロイド |
Research Abstract |
抗生物質の探索および開発は、多剤耐性菌や新たな病原菌への備えとして重要であり、特に既存の分子骨格とは異なる新規化合物の発見・創成は大きな意義がある。本研究では、一般には抗生物質生産菌として認知されていない放線菌Rhodococcus erythropolis JCM6824株が合成する新規抗菌物質であるオーラシンREに焦点を当て、オーラシン骨格に強い抗菌活性を付与するシトクロムP450(RauA)分子の構造機能解析を行うことで、抗菌活性発現に重要なオーラシン骨格の構造部位を明らかにすることを目的とした。 本研究では、H23年度までに、RauAによってオーラシン類のキノロン環窒素が水酸化され、強い抗菌活性が生まれることを明らかにした。H24年度はさらに、RauA遺伝子をノックアウトした菌株から抽出された不活性オーラシンRE前駆体を用い、その不活性物質とRauAとの複合体結晶構造の解析に成功した。解析の結果、RauAのヘムポケット内にオーラシンが結合している状態が明確に観察された。オーラシンのキノロン環はヘムのポルフィリン環と平行になるように相互作用しており、複数のアミノ酸側鎖との水素結合が観察された。さらにキノロン環の窒素が水を介してヘム鉄と結合していた。この結合モードは、RauAが窒素を水酸化するという機能解析の結果と矛盾しない。一方、ファルネシル側鎖は疎水性のアミノ酸から構築されたポケット内に丸まって収まっており、特異的な蛋白質アミノ酸残基との相互作用が見られなかったことから、RauAの基質としてファルネシル部位には様々なバリエーションが許容されるかもしれない。 今後、RauAの構造情報と機能を利用して、さらなるオーラシン類縁の新規抗菌活性物質を創出することができるか検討する予定である。
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Research Products
(5 results)