2012 Fiscal Year Annual Research Report
C型インフルエンザウイルスの増殖に関与するCM2タンパク質の機能領域の同定
Project/Area Number |
23790494
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
下平 義隆 山形大学, 医学部, 助教 (30445746)
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Keywords | C型インフルエンザ / CM2 / ゲノムパッケージング |
Research Abstract |
C型インフルエンザウイルスのCM2はウイルスゲノムのパッケージングに関与するが、この機能を担うCM2の機能領域は未同定である。昨年は欠失変異体を用いてタンパク質の発現や輸送などについて解析したが、本年度はこれら領域を詳細に解析するためCM2 (115アミノ酸) の細胞質領域 (47位から115位) を3残基毎にアラニンに置換した変異体を作製した。これらの変異が、CM2の発現、輸送及び生化学的性状などに影響を及ぼすか否かについて解析した。 まず、上記の変異体を培養細胞で一過性に発現させ、間接蛍光抗体法により局在を確認した。その結果、全ての変異体で細胞膜への輸送が確認されたことから、細胞質領域には細胞膜への輸送に必須なアミノ酸は存在しないことが明らかとなった。次に、同変異体の発現をウェスタンブロット法で解析すると、発現量の低下が認められる変異体が存在した。それらの変異体をパルスチェイス実験で解析すると分解の促進が認められたことから、これらの配列はタンパク質の構造の安定化に関与する可能性が考えられた。また、CM2は糖鎖修飾を受けるが、同解析において糖鎖修飾効率の低下が認められる配列が存在した。CM2の糖鎖修飾はウイルスのゲノムパッケージングに関与する事が報告されているので、これらの配列はゲノムパッケージングに必要な配列である可能性が考えられた。更に、CM2は4量体を形成するが各変異体の量体形性能を解析したところ、4量体形成は全ての変異体で確認されたが単量体を示すバンドが検出された変異体が存在した。CM2の量体形性能は、このタンパク質がもつイオンチャネル活性にも必須であると考えられるため、これらの配列はウイルス増殖に必要な配列であると考えられた。 現在、これらの変異体を用いてウイルス様粒子を作製し、ゲノムパッケージングに及ぼす影響を解析している。
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