2012 Fiscal Year Annual Research Report
細胞内膜輸送系を介した非エンベロープウイルスの細胞外への放出
Project/Area Number |
23790503
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
森田 英嗣 大阪大学, 微生物病研究所, 特任准教授 (70344653)
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Keywords | ウイルス / オートファジー |
Research Abstract |
申請者はこれまでに、ロタウイルスウイルス様粒子産生系を用いて、ウイルス粒子の放出に、細胞質画分を生体膜で隔離する働きがあるオートファジー経路が関与していることを、ATG遺伝子に対するドミナントネガティブ変異体を用いて明らかにした。また、ウイルス陽性構造体にはオートファゴソームマーカーであるLC3が局在することも確認した。これらの結果は、オートファジーが非エンベロープウイルス放出に何らかの役割を持っていることを示している。また、申請者らはウイルス感染におけるオートファジーの普遍的な役割を調べるために、各種ATG KOマウス由来 MEFに日本脳炎ウイルス(JEV)を感染させてウイルスの増殖を調べた。その結果、ATG3-/-, ATG5-/-, ATG9L1-/-, ATG7-/-, ATG14L-/-, ATG16L1-/-, Beclin-/-細胞を用いた場合、野生型と比較してウイルス増殖能に変化が認められなかったのに対し、FIP200-/-、p62-/-細胞を用いた場合では著しいウイルス価の低下が確認された。さらに、JEVを各種ATG欠損細胞に感染させ、オートファゴソームマーカーであるLC3輝点形成を検出したところ、ATG3-/-, ATG5-/-, ATG7-/-, ATG16L1-/-細胞では、輝点の形成が確認されなかったのに対し、ATG9L1-/-, ATG14L-/-, Beclin-/-, FIP200-/-, p62-/-細胞では野生型細胞とほぼ同等に輝点が形成された。これらの結果から、オートファジー機構のウイルス感染への役割はウイルスのエンベロープの有無により大きくことなり、また特定のウイルス種の増殖においては、オートファジーによるバルク分解機構は必要ではなく、むしろ、まだ明らかになっていない各種ATG因子の新た機能が深く関与している可能性が示された。
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