2011 Fiscal Year Research-status Report
RSウイルス感染鼻粘膜上皮細胞におけるIFNλの産生機序と病態形成への関与
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23790507
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
岡林 環樹 大阪大学, 微生物病研究所, 特任准教授 (10359995)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | RSウイルス / hTERT導入ヒト正常鼻粘膜上皮細胞 / 自然免疫 / IFN-lambda |
Research Abstract |
23年度における本研究ではhuman telomerase reverse transcriptase遺伝子(hTERT)を導入することにより継代可能としたヒト正常鼻粘膜上皮細胞(NE)を用いて、RSV感染時における自然免疫応答について明らかにすることを目的とした。hTERT-NEにおいてRSVの感染増殖が観察できた(感染24時間後Long株 2.3x103、A2株 2.8x103 PFU/ml)。また、RSV増殖に伴うRANTESの産生がみられた。RSV感染によりI型IFN mRNAは誘導されなかったが、III型IFN mRNAが顕著に誘導され、ISG発現との相関性があった。培養上清中において、IFN-1lambda1の継時的な産生誘導(感染24時間後 Long株849、A2株1119 pg/ml)が確認できたが、IFN-lambdaの誘導はみられなかった。siRNAによるRIG-I発現抑制細胞では、RSV感染によるIFN-lambda1の産生は抑制されたが、MDA5発現抑制細胞では、IFN-lambda1の産生は抑制されなかった。RSVをはじめとする呼吸器系ウイルスの標的細胞であるヒト正常鼻粘膜上皮細胞を、継代可能な状態で、RSV感染系として確立することが出来た。この感染系からの結果では、I型IFNよりもIII型IFNが優位に産生されたことから、RSV感染時のヒト鼻粘膜上皮細胞においては、III型IFNによる感染防御が中心となって作動していると考えられた。また、このIII型IFN産生には、RIG-IによるRSV関連分子の認識が起点となっていることが示唆された。RSVの侵入門戸となる鼻粘膜細胞においては、RIG-I依存的にI型IFNよりもIII型IFNであるIFN-lambdaが誘導されることを新たに見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
RSV感染鼻粘膜における、RIG-I依存的なIFN-の産生を明らかにすることができた。しかし、IFN-lambdaとIFN-betaの調節機序に関与する因子が同定できていない。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、生体におけるIFN-lambdaの産生性を確認するために、RSV感染患者から得られた鼻汁中のIFN、サイトカインを測定する。またアレルギーへの影響を明らかにするために、患者PBMCにおけるIFN-lambdaの反応性を測定する。アレルギー患者のIFN-lambda産生におけるエピジェネテックな要因を病態との関連性を明らかにする。現在、確認できていないIFN-lambda調節機序の特異性を明らかにするために、IFN-誘導性の異なる細胞を用いて、IFN産生機序にかかわる因子の網羅的解析を用いて同定する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
消耗品、物品購入
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