2012 Fiscal Year Annual Research Report
HIV-1感染抵抗性因子Rac2によるウイルス増殖制御様式の解明
Project/Area Number |
23790510
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
博多 義之 近畿大学, 医学部, 助教 (30344500)
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Keywords | ウイルス / HIV-1 / rac2 / 感染抵抗性因子 / 感染制御 |
Research Abstract |
最終年度に実施した研究の成果 Rac2が構成因子となるNADPH oxidaseにはオートファジー誘導能が報告されているが、HIV-1感染時にRac2依存的オートファジーが起こるのかについて報告はない。Rac2がHIV-1感染抵抗性因子であることを我々は発見しており、抵抗性の基盤となる分子作用機序として、Rac2のオートファジー制御によるウイルス分解の促進が考えられた。そこで、交付申請書のH24年度研究計画・方法の通り、Rac2のオートファジー制御活性の検出を試みたが、Rac2過剰発現細胞などにおいてRac2による顕著なオートファジー制御活性を認めることはできなかった。しかし、HIV-1がコードする種々の制御/アクセサリータンパク質を用いた解析の結果、Rac2はVprと結合すること、Nefと同様、Vprはオートファジーを制御することを発見した。これは本研究で初めて明らかにされたVpr活性である。その後、VprがRac2の活性化に影響すること、およびVprはRac2の細胞内局在を変化させることが分かった。以上から、Rac2自身にオートファジー制御能は認められないものの、制御能を持つVprとの相互作用を介して間接的にオートファジーに関与する可能性が示唆された。Rac2/Vprの機能的相互作用を世界に先駆けて明らかにできた点で意義深く、ウイルス制御に向けた新たな展開に繋がる重要な知見が得られた。 研究期間全体を通じて実施した研究の成果 平成23年度にはサイトカイン産生におけるRac2の新機能を発見すると共に、Rac2が発揮するHIV-1感染抵抗性の分子機序として、Rac2による炎症性サイトカインの発現制御機構が示唆された。平成24年度にはNefと同様、Vprがオートファジー制御因子として働くこと、Rac2はVprと結合することでオートファジー制御に関与しうることが示唆された。
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Research Products
(2 results)