2011 Fiscal Year Research-status Report
pre-BCRダウンレギュレーションにおけるリソソーム膜分子laptm5の役割
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23790530
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
河野 洋平 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (20401383)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | pre-BCR / リソソーム / タンパク分解 |
Research Abstract |
pre-BCRはB細胞分化に重要であるだけでなく、近年では急性リンパ性白血病との関連が示唆されているが、その発現調節メカニズムについてはほとんどわかっていない。我々はプレB細胞株を用いて、preBCRの発現終焉がおこる過程でリソソーム膜分子であるLaptm5が増加することを見つけた。そこで当該年度ではまずpreBCRの発現終焉時のLaptm5の発現をqRT-PCRおよびウエスタンブロット法にて調べたところ、8-24時間後にmRNAおよびタンパクレベルでLaptm5が増加していることがわかった。増加したLaptm5はリソソームに局在していることが共焦点顕微鏡によって観察された。興味深いことに、通常pre-BCRは細胞内の小胞体に多く分布していたが、preBCRの発現終焉時にlaptm5とともにリソソームに共局在することがわかった。このことからLaptm5はリソソームでのpreBCR分解を促進することで細胞表面上のpreBCRを低下させていることが考えられた。実際、リソソーム阻害剤を添加しておくとpre-BCRの発現終焉は抑制されることがわかった。また、in vivoでのプレB細胞におけるLaptm5の役割を調べるため、Laptm5欠損マウスのpreBCR発現レベルをフローサイトメーターにて調べたところ、野性型マウスと比較して有意に上昇していることがわかった。このことから生体においてもLaptm5がpre-BCRの発現終焉に関わることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
pre-BCR発現調節メカニズムを明らかにする目的において、研究計画に沿った実験を行い、Laptm5がpre-BCR発現終焉に関わる分子であることを明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
Laptmがpre-BCRを分解することでpre-BCRの発現終焉に関与することがわかったが、どのようにして分解を促進しているかは不明である。今後遺伝子ノックダウンライブラリーを用いた手法により網羅的にLaptm5を介したpre-BCR終焉を解析することで候補分子を同定する。また、Laptm5欠損マウスにおいてpre-BCRが過剰発現していることがわかったが、B細胞分化や増殖に関するpre-BCRの機能異常は今のところ見られていない。生理的意義は不明である。今後B細胞レパートリーの解析を行うことでpre-BCRによる品質管理に異常がみられるか調べていく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の研究費の使用計画については分子生物学的および生化学的手法を用いて実験を行うための試薬や消耗品を購入する。また、マウスを行った実験も行うため、飼育費なども必要である。また、研究成果を発表するための学会参加費や論文投稿および掲載費として使用する。
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