2012 Fiscal Year Annual Research Report
PD-1と新規免疫制御分子の作用によるT細胞分化の制御
Project/Area Number |
23790534
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
竹馬 俊介 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (50437208)
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Keywords | 免疫寛容 / 免疫抑制 / 自己免疫疾患 / がん免疫 / T細胞 |
Research Abstract |
当研究の目的は、PD-1によるIL-2抑制に依存して、その後の抗原応答が不能になったCD8陽性T細胞において発現が低下していた核内因子、ITAG-1分子のノックアウトマウスを用い、免疫学的および生化学的解析によって、当分子のT細胞分化における機能を明らかにすることである。前年度までに、2型ヘルパー細胞の分化に必須である、GATA-3が、ITAG-1と生化学的会合をすることを見出している。この生化学的解析と並行して、本年度はノックアウトマウスに、キラー誘導能があるモデルペプチド(SIYRYYGL)を免疫し、MHC ClassIテトラマーを利用して、このペプチドに対して誘導された特異的CD8陽性細胞を検出する実験を行った。テトラマー陽性細胞を、既知のキラーT細胞のマーカーと多重染色し、最終分化したキラー細胞が産生されたのかを見極めようとしたが、試験管内での活性化実験の結果に反し、ノックアウトマウスのT細胞は、野生型と同程度の活性化を示した。他者の研究より、ITAG1には少なくとも2個の近縁分子があり、ノックアウトマウスではこれらがITAG1の機能を補っているために明確な表現型が得られていない可能性がある。 これとは別に、新規IL-2転写調節機構の観点から、この新規調節因子としてTRIM28分子に注目、T細胞特異的TRIM28ノックアウトマウスを作製した。このマウスは、生後半年以内に多数が自己反応性17型ヘルパー細胞の集積を特徴とする炎症疾患を発症し、早期に死亡することなどから、TRIM28がT細胞性免疫寛容に重要であることを見出した。T細胞性自己寛容は、免疫学における重要な疑問の一つであり、今後はTRIM28をはじめとしたクロマチン制御因子がこの過程を制御する機構について研究を進めて行く予定である。
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[Journal Article]2012
Author(s)
Chikuma S, Suita N, Okazaki IM, Shibayama S, Honjo T
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Journal Title
Nat. Immunol.
Volume: 13
Pages: 596-603
DOI
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