2012 Fiscal Year Research-status Report
Tリンパ球におけるNotchシグナル制御性microRNAの検索とその機能解析
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23790538
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
西田 純 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (00361981)
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Keywords | Notch / miR449a |
Research Abstract |
(1)-a. in vitro培養系を用いたmicroRNAの強制発現によるTリンパ球分化成熟への影響 我々はNotch誘導性microRNAであるmiR449aを発現するウイルスベクターを構築し、標的配列を持つルシフェラーゼレポーターを用いてその抑制活性を確認した。そのベクターから作製したウイルスを骨髄由来幹細胞へ感染させ、in vitro培養系を用い解析した。その結果、miR449aウイルス感染細胞と空ウイルス感染細胞の間でCD4+Tリンパ球およびCD8+Tリンパ球分化に差は見いだされなかった。 (1)-b. マウス骨髄移植実験系を用いたmicroRNAのTリンパ球分化成熟への影響 miR449aウイルスおよび空ウイルスを感染させた 骨髄由来幹細胞を放射線照射したマウスへ移植し、Tリンパ球の分化を解析した。その結果、miR449a感染脾臓細胞と空ウイルス感染脾臓細胞の間でTリンパ球とBリンパ球の割合やCD4+Tリンパ球およびCD8+Tリンパ球分化に差は見いだされなかった。 (2)-a. microRNAノックアウトマウスの樹立 我々の研究室で樹立したmiR449a欠失ES細胞を用い、 筑波大学生命科学動物資源センターへ委託してキメラマウス作製を行った。作製したキメラマウスとC57BL/6マウスを交配しF1マウスを作製し、ジャームライントランスミッションを確認した。その結果、一系統からKOアレルを持ったヘテロマウスが得られた。現在、それらへテロマウスを用い、コロニーの増加、およびバッククロスを進めているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
in vitro培養系 を用いたmicroRNAの強制発現によるTリンパ球分化成熟については、現在のところCD4やCD8、CD44など、Tリンパ球細胞表面マーカーの表現型上の違いは見いだされておらず、期待したような結果は得られていない。 マウス骨髄移植実験系を用いたmicroRNAのTリンパ球分化成熟についても、in vitro培養系と同様に Tリンパ球の表現型上の違いは見いだされておらず、期待したような結果は得られていない。 microRNA KOマウスの樹立については、前年度報告の通り、当大学施設で樹立予定であったものができず、外部委託した事から当初予定より遅れて進行している。しかしながら、それらキメラマウスからのKOアレルのジャームライントランスミッションが確認された事から、KOマウスの樹立が確実なものとなり、今後予定している研究は速やかに行える環境が整いつつある。 以上の事から 、研究自体はKOマウス樹立が予定より遅れ、また、ポジティブな結果が得られていない事から達成度としてもやや遅れているという評価である。
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Strategy for Future Research Activity |
miR449a KOマウスについては野生型マウス C57BL/6と交配しバッククロスを進めるとともにKOマウスを樹立する。それらマウスと野生型マウスについてTリンパ球の数や割合、その表現形やエフェクター機能等を比較し、Tリンパ球におけるmiR449aの機能を明らかにしていく。 野生型マウスまたはmiR449a KOマウスから調製したTリンパ球および、ウイルスベクター感染によりmiR449aを強制発現したTリンパ球を調製し、それら細胞抽出液を用い二次元電気泳動等のプロテオーム解析を行う。これらを比較する事によりNotchシグナルにより制御されるmiR449aのターゲット遺伝子を発見する事ができると考えられる。それらターゲット遺伝子をmiR449a KOマウス由来Tリンパ球に強制発現させることによりKOマウスで現れた表現型がレスキューされるか調べたり、siRNAによりその遺伝子をノックダウンした際にKOマウスで見られる表現型が現れるか解析する事により、実際にNotch誘導性microRNAが制御するターゲット遺伝子であるかを明らかとする。 また、様々な長さのmiR449aプロモーターをルシフェラーゼレポーターにつなぎ、Notch-細胞内領域発現ベクターとともに細胞内へ導入して、その活性を測る事により、Notchシグナルによる制御を受ける領域を決定する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ウイルスベクター調製など分子生物学的実験に用いる試薬や細胞培養や造血系幹細胞調製、Tリンパ球分化実験に必須なサイトカインなど細胞生物学的実験に用いる試薬を購入するために研究費を使用する。また、キメラマウスと交配させる野生型マウスなど研究を進めるにあたり必要となる実験動物購入にも研究費を使用する。 microRNAのターゲット遺伝子を網羅的に解析するにはプロテオーム解析が非常に有効な手段である。そのため、 次年度はプロテオーム解析を予定している。このプロテオーム解析は徳島大学医学部先端医療研究資源技術支援センターへの委託で行う事を計画しており、その委託料に研究費を使用する。
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