2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23790540
|
Research Institution | Research Institute, International Medical Center of Japan |
Principal Investigator |
新田 剛 独立行政法人国立国際医療研究センター, その他部局等, 室長 (30373343)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
|
Keywords | 免疫 / T細胞 / 胸腺 / 胸腺上皮細胞 |
Research Abstract |
T細胞は免疫システムの司令塔であり、胸腺にて分化する。胸腺の微小環境は様々な胸腺ストロマ細胞からなり、胸腺細胞(未熟T細胞)の正と負の選択による抗原認識レパートリー形成を支持する。本研究では、胸腺ストロマ細胞の一種である胸腺皮質上皮細胞が多数の胸腺細胞と会合した巨大な多細胞複合体を形成することを見出し、これらの複合体の構造と機能の理解を目的とした。フローサイトメーターおよび共焦点レーザー顕微鏡を用いた解析により、皮質上皮細胞は大まかに、胸腺細胞が皮質上皮細胞の外側にも会合した開放型複合体、胸腺細胞が皮質上皮細胞の内部に包み込まれ外部に露出しない閉鎖型複合体、多細胞複合体を形成しない単独細胞集団、の3つの亜集団から構成されることがわかった。このうち、閉鎖型複合体は過去に「胸腺ナース細胞」として記載された構造体であり、新生仔期以降に生成され、CD4+CD8+胸腺細胞を内部に含んでいた。閉鎖型複合体は胸腺細胞の正の選択が強く誘導される条件ではほとんど形成されず、正の選択が阻害される条件でより多く形成された。閉鎖型複合体に包み込まれたCD4+CD8+胸腺細胞は、TCRα鎖の遺伝子再構成を繰り返した細胞であることが示された。以上の結果より、皮質上皮細胞は分化途上のCD4+CD8+胸腺細胞と緊密な複合体を形成し、CD4+CD8+胸腺細胞の長期生存とTCRα鎖の遺伝子再構成を促進することでT細胞の抗原認識レパートリー形成に重要な役割を担うことが示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
胸腺上皮細胞と胸腺細胞による多細胞複合体を定性的かつ定量的に測定する技術を確立することに成功し、複合体の構造と機能の解明が大きく進展した。また、多細胞複合体を欠損する変異マウスを見出し、表現型解析と原因遺伝子同定を進めている。
|
Strategy for Future Research Activity |
胸腺上皮細胞と胸腺細胞による細胞間接着を担う分子を同定し、多細胞複合体の形成機序と生理的意義を明らかにする。また、多細胞複合体を欠損する変異マウスの表現型解析と原因遺伝子の同定を行う。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
多細胞複合体を欠損する変異マウスの原因遺伝子同定には規模の大きな動物実験と遺伝子解析、および機能検証のための遺伝子改変動物の作製が必要となるため、経費の一部を次年度に集中的に使用することとした。
|
Research Products
(5 results)