2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23790540
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Research Institution | 独立行政法人国立国際医療研究センター |
Principal Investigator |
新田 剛 独立行政法人国立国際医療研究センター, 研究所, 室長 (30373343)
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Keywords | 免疫 / T細胞 / 胸腺 / 胸腺上皮細胞 |
Research Abstract |
T細胞は免疫システムの司令塔であり、胸腺にて分化する。胸腺の微小環境は様々な胸腺ストロマ細胞からなり、胸腺細胞(未熟T細胞)の選択による抗原認識レパトア(レパートリー)形成を支持する。本研究では、胸腺ストロマ細胞の一種である胸腺皮質上皮細胞が多数の胸腺細胞と会合した多細胞複合体を形成することを見出し、これらの複合体の構造と機能の理解を目的とした。成体マウス胸腺において、皮質上皮細胞の大部分は、胸腺細胞を内部に包み込んだ閉鎖型複合体、または胸腺細胞が皮質上皮細胞の外側にも会合した開放型複合体を形成することがわかった。閉鎖型複合体は過去に「胸腺ナース細胞」として記載された構造体であり、マウスの生後1~2週以降に生成され、CD4+CD8+胸腺細胞を内部に含んでいた。閉鎖型複合体は胸腺細胞の正の選択が強く誘導される条件ではほとんど形成されず、正の選択が阻害される条件でより多く形成されることがわかった。 最終年度には、過去に「胸腺ナース細胞」の減少が報告されたCD4欠損マウスの解析を行った。CD4欠損マウスでは正常マウスと同程度の閉鎖型および開放型複合体が検出され、CD4は多細胞複合体形成に必要ではないことが明らかとなった。一方、胸腺細胞が長期生存するBcl2-Tgマウスでは閉鎖型複合体が増加し、胸腺細胞の生存が低下するRORγ欠損マウスでは閉鎖型複合体が減少していた。また、複合体内部の胸腺細胞は、ゲノム上の位置がより外側(遠位)のTCRα鎖の使用頻度が高いことがわかった。従って、複合体に包み込まれた胸腺細胞はTCRα鎖遺伝子再構成を繰り返して長期生存してきた細胞であることが示唆された。 以上の結果より、「胸腺ナース細胞」は皮質上皮細胞と胸腺細胞の複合体の一部であり、胸腺細胞のTCRα鎖の遺伝子再構成を促進することでT細胞の抗原認識レパトア形成を制御することが示唆された。
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Research Products
(4 results)
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[Journal Article] Thymic nurse cells provide microenvironment for secondary TCRα rearrangement in cortical thymocytes.2012
Author(s)
Nakagawa, Y. Ohigashi, I., Nitta, T., Sakata, M., Tanaka, K., Murata, S., Kanagawa, O., Takahama, Y
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Journal Title
Proc Natl Acad Sci USA
Volume: 109
Pages: 20572-20577
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] MicroRNAs Control the Maintenance of Thymic Epithelia and Their Competence for T Lineage Commitment and Thymocyte Selection.2012
Author(s)
Zuklys, S., Mayer, C.E., Zhanybekova, S., Stefanski, H.E., Nusspaumer, G., Gill, J., Barthlott, T., Chappaz, S., Nitta, T., Dooley, J., Nogales-Cadenas, R., Takahama, Y., Finke, D., Liston, A., Blazar, B.R., Pascual-Montano, A., Hollander, G.A.
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Journal Title
J Immunol
Volume: 189
Pages: 3894-3904
DOI
Peer Reviewed
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