2012 Fiscal Year Annual Research Report
補体セリンプロテアーゼMASP-1を標的としたループス腎炎の新規治療戦略
Project/Area Number |
23790542
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
町田 豪 福島県立医科大学, 医学部, 助教 (80583632)
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Keywords | MASP-1 / 全身性エリテマトーデス / ループス腎炎 / MRL/lprマウス / 補体第二経路 |
Research Abstract |
本研究では、MASP-1欠損ヒトSLEモデルマウス(MRL/lpr系)を作製し、そのループス様腎炎病態を評価することで、ヒトループス腎炎病態における補体第二経路の関与を示すと共に、MASP-1のループス腎炎に対する治療標的としての有効性を明らかにすることを目的とした。 MASP-1 KO C57BL/6マウス(J.Immunol.,180,6132-6138,2008)を、ヒトSLEモデルとして用いられるMRL/lprマウスに7世代以上戻し交配して、MASP-1 KO MRL/lprマウスを作製した。12週齢から24週齢まで2週毎に採血を行い、血清生化学的評価を行った。ザイモザンを用いた血清中のC3沈着活性測定により、MASP-1 KO MRL/lprマウスにおいて第二経路活性が消失していることが確認された。またMASP-1 KO MRL/lprマウスでは、野生型と比較して血中補体C3量が24週齢まで高値に保たれており、抗dsDNA抗体値も低値であったことから、MASP-1欠損による自己免疫性炎症病態の改善が認められた。24週齢においてマウスを屠殺し、腎の病理組織学的評価を行った結果、野生型およびMASP-1ヘテロのMRL/lprマウスでメサンギウム増殖・半月体形成を伴う典型的なループス腎炎が数例において観察されたが、MASP-1 KO MRL/lprマウスでは全6例について糸球体病変が認められず、さらに蛋白尿も改善していたことから、MASP-1が補体第二経路を活性化させてループス腎炎の病態形成に関与していることが強く示唆された。以上の結果より、MASP-1抑制がヒトSLEにおけるループス腎炎の新たな治療法として有効であることが示された。
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