2012 Fiscal Year Annual Research Report
抗原提示細胞のmTORC1を介したIL-10発現制御機構の解明と腸炎における役割
Project/Area Number |
23790546
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
大谷 真志 関西医科大学, 医学部, 助教 (20383713)
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Keywords | mTORC1 / IL-10 / 樹状細胞 / 腸炎 |
Research Abstract |
我々はこれまでに、mTORC1(mTOR complex 1)が樹状細胞(DC)のIL-10発現を正に制御していることを明らかにしている。IL-10は炎症の抑制を促すサイトカインであり、その産生異常は炎症性腸疾患の原因の一つと考えられており、特に腸管に存在するDCやマクロファージが産生するIL-10が腸炎の発症に重要であること知られている。そこで、DCにおけるmTORC1-IL-10が腸炎発症に及ぼす影響を明らかにするため、DC特異的mTORC1機能欠損マウス(Raptor-DCKO)を作製して解析を行なった。 mTORC1は細胞の成長や増殖を促進する分子であるにもかかわらず、野生型に比べてRaptor-DCKOマウスの脾臓および腸管の一部のDC集団では、細胞の数が増えていた。Raptor-DCKOマウス由来DCでは、細胞の増殖・生存関連分子のAktが活性化しており、これはmTORC1によるPI3K-Aktシグナルに対する負の調節制御がなくなったことが原因であり、活性化Aktにより細胞数の増加が引き起こされていると予想された。また、野生型に比べてRaptor-DCKOマウスの腸管CD11c+CD11b+DCでは、IL-10産生の低下とCD86の高発現が観察され、DCの活性が亢進していることが示唆された。そこで、デキストラン硫酸塩を用いた腸炎モデル実験を行ったところ、野生型に比べてRaptor-DCKOマウスではよりシビアな腸炎が観察された。一方、DCの産生するIL-10は制御性T細胞の維持に関与するという報告があるが、制御性T細胞や炎症性のTh1、Th17細胞の数は野生型とRaptor-DCKOマウスで差が見られなかった。以上のことから、DCにおけるmTORC1はIL-10産生制御を介して自然免疫反応の抑制、すなわち腸炎の発症抑制に貢献していることが明らかとなった。
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Research Products
(8 results)