2011 Fiscal Year Research-status Report
インフルエンザウイルス感染モデルにおける記憶B細胞の新規再活性化機構の解明
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23790553
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
小野寺 大志 国立感染症研究所, 免疫部, 主任研究官 (90513143)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | ワクチン |
Research Abstract |
平成23年度に行った研究により、当初の目的とするT細胞非依存的な記憶B細胞の再活性化機構において、B細胞内因性のMyD88が必須の役割を果たしていることを明らかとした。つまり、B細胞のみでCreが発現するmb1CreマウスとMyD88flox/floxマウスとを交配し、B細胞のみでMyD88を欠損するマウスを作製した。これらのマウスに不活化インフルエンザワクチンを投与して、形成されたインフルエンザウイルス特異的な記憶B細胞のT細胞非依存的な再活性化を解析した結果、このマウスでは記憶B細胞の形成過程はほぼ異常がないものの、ウイルス粒子に対するT細胞非依存的な再活性化応答のみが完全に欠失することを明らかとした。更に、記憶B細胞がT細胞非依存的な再活性化をおこす際、MyD88の上流で働いているTLRとしてインフルエンザウイルス粒子内に存在するssRNAを認識するTLR7に着目し、 TLR7KOマウスとインフルエンザウイルスのHA抗原特異的なイムノグロブリンの遺伝子組み換えマウスを交配した。このマウス由来のB細胞を野生型のレシピエントマウスに移入することでTLR7が欠損した移入細胞由来の記憶B細胞を形成させ、その再活性化応答を解析した。その結果、B細胞のみでTLR7が欠損することにより、T細胞非依存的な記憶B細胞の再活性化応答が完全に欠失することを明らかとした。これらの結果からインフルエンザウイルスに対する記憶B細胞のT細胞非依存的な再活性化応答にはB細胞内因性のTLR7-MyD88を介したシグナルが必須の役割を果たしていることが明らかとなった。これらの結果は現行のインフルエンザワクチンにTLR ligandを含ませることでT細胞依存性、非依存性の両方の活性化機構を刺激し、記憶B細胞のbooster効果を高められる事を示している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画通り、平成23年度内にB細胞特異的なMyD88ノックアウトマウスを作製し、T細胞非依存性の記憶B細胞の再活性化機構におけるB細胞内因性のMyD88 signalの役割をあきらかとした、また、このMyD88の上流でインフルエンザウイルス粒子由来のTLR ligandを認識するTLRとして、TLR7を同定し、TLR7欠損記憶B細胞を解析することで、MyD88欠損記憶B細胞と同様のphenotypeを示すことを明らかとした。これらの結果から当初の目的である記憶B細胞におけるT細胞非依存的な再活性化に必須となる経路としてTLR7-MyD88の経路の存在を明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は、当初の計画通り記憶B細胞がナイーブB細胞に比してTLR-MyD88を介したシグナルへの依存性が高いメカニズムを明らかとする。その上でまず、記憶B細胞のT細胞非依存的な再活性化応答の際、MyD88の欠損によって細胞増殖、生存維持、抗体産生細胞への分化のどの過程に障害が出るのかを、記憶B細胞の細胞移入実験により明らかとする。更にここで明らかとなった障害と関係のある責任遺伝子、シグナル経路を明らかとする目的でMyD88欠損、もしくは正常記憶B細胞の遺伝子発現プロファイル、タンパク質のリン酸化等をDNAマイクロアレイ、プロテオーム解析によって網羅的に解析する。ここで同定した遺伝子をナイーブB細胞、また野生型記憶B細胞に導入するか、もしくはRNAiを用いてノックダウンすることによりMyD88欠損記憶B細胞と同様の表現型が認められるかを検証する。これらの実験結果から、記憶B細胞がナイーブB細胞に比しMyD88を介したシグナルへの依存性が高いメカニズムを明らかとする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度は主にマウスの細胞移入実験により調整したサンプルのDNAマイクロアレイ、プロテオーム解析を主体に行う。またそれらの解析により得られた候補遺伝子のクローニング、細胞への遺伝子導入による検証を行うことから、こららの実験に必要な純系マウスの購入費、飼育管理費、DNAマイクロアレイ、プロテオーム解析用の分子生物学用試薬、遺伝子組み換え実験用試薬、細胞培養用試薬等の経費が大半を占める。
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[Presentation] Memory B cells in the lung participate in protective humoral immune responses to pulmonary influenza virus reinfection
Author(s)
Takahashi, Y.Onodera, T., Yokoi, Y., Ato, M., Hachimura, S., Kurosaki, T., Kobayashi, K.
Organizer
Keystone symposia, Viral Immunity and Host Gene Influence(招待講演)
Place of Presentation
Colorado, USA
Year and Date
平成24月3月25日
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