2012 Fiscal Year Annual Research Report
インフルエンザウイルス感染モデルにおける記憶B細胞の新規再活性化機構の解明
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23790553
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
小野寺 大志 国立感染症研究所, 免疫部, 主任研究官 (90513143)
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Keywords | 免疫学 / ウイルス感染 / インフルエンザ / 記憶免疫応答 |
Research Abstract |
平成23年度に行った研究において、記憶B細胞はインフルエンザウイルス粒子を認識しT細胞非依存的な抗体産生応答を行う際にウイルス粒子に存在するTLR7ligandであるssRNAによるTLRシグナルを受けることが必須であることを明らかとした。 そこで平成24年度では、このT細胞非依存的な抗体産生応答におけるTLRシグナル依存性が記憶B細胞とナイーブB細胞において異なるのかどうかを厳密に比較解析を行うため、インフルエンザウイルスのHA抗原に対して特異的なB細胞抗原受容体をノックインしたマウス(VHKIマウス)とTLR7ノックアウトマウスを掛け合わせることにより作成したTLR7欠損VHKIマウス、またTLR7が正常なVHKIマウスからそれぞれナイーブB細胞を純化し、インフルエンザウイルス粒子に対する抗体産生応答を比較解析した。その結果、記憶B細胞とは異なりナイーブB細胞ではT細胞非依存的な抗体産生応答にTLR7を介したTLRシグナルは必須ではないことが明らかとなった。この結果は記憶B細胞とナイーブB細胞ではその抗体産生応答におけるシグナル要求性が異なる事を示唆している。 更にこの記憶B細胞によるT細胞非依存的な抗体産生応答はT細胞依存的な応答に比し、早期から抗体産生応答を誘導し、更に抗原への親和性、またウイルスの中和活性に関してもT細胞依存的な応答により産生された抗体に比し高いことが明らかとなった。インフルエンザウイルスのHA抗原に対する中和過程において、抗体がHA抗原のどの領域を認識するかはユニバーサルなインフルエンザワクチンを作る上でも現在非常に重要な課題となっているため、このT細胞非依存的に産生された抗体の指向性をHI試験により判別したところ、HA抗原の最上部に存在するシアル酸結合領域を認識する抗体がより多く産生している事を明らかとした。
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