2011 Fiscal Year Research-status Report
新規胸腺特異的遺伝子ISC22のT細胞分化・活性化における機能の解析
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23790554
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Research Institution | Research Institute, International Medical Center of Japan |
Principal Investigator |
早川 国宏 独立行政法人国立国際医療研究センター, その他部局等, 研究員 (00573007)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 免疫学 / T細胞 / 活性化T細胞 / IL-2 |
Research Abstract |
免疫系において中心的な役割を果たしているT細胞は、胸腺内で正と負の選択を受けてレパートリーを形成することにより自己と非自己を識別できるようになる。また、末梢組織では、抗原を認識してサイトカイン産生することで、生体防御に重要な役割を果たしている。このようなT細胞の選択と活性化の分子メカニズムを解明することは免疫系の理解のみならず、免疫系疾患の新たな治療戦略の開発においても極めて重要である。我々は胸腺に特異的に発現する一連の未知遺伝子を「胸腺特異的遺伝子」として抽出・単離し解析を行っている。本研究は、胸腺特異的遺伝子のひとつである「ISC22」に着目し、T細胞の分化や活性化における機能および分子機序を解明することを第一の目的とした。今年度の研究で得た知見の概要を、以下に記す。ISC22の発現をreal-time PCRを用いて様々な組織・細胞で検討した結果、T細胞で特に強い発現が見られ、T細胞集団の中でもナイーブCD4、CD8 T細胞が発現の高い集団であることを明らかにした。ISC22のin vivo における機能を解明するため、ISC22欠損マウスを作製し、表現型の解析を行った。ISC22の欠損は、T細胞の分化に著明な異常は観察されなかった。一方で、末梢のCD4 T細胞の活性化を検討したところ、ISC22欠損マウスのCD4T細胞では、TCR刺激によるIL-2の産生が著明に減少することを明らかにした。また、並行して作製している、ISC22を過剰発現するトランスジェニックマウスは、現在までにファウンダーが得られており、解析を進めている。現在までの結果から、ISC22は末梢CD4 T細胞の活性化によるIL-2の産生に重要な役割を果たしている可能性が示唆された。現在、このISC22によるIL-2の産生の制御に関与する詳細な分子メカニズムを検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までに、ISC22欠損マウスの表現型の検討は、ほぼ終了しており、活性化CD4 T細胞のIL-2産生が低下していることを明らかにした。また、並行して作製しているISC22過剰発現トランスジェニックマウス、TCRトランスジェニックマウスと交配しているISC22欠損マウスの交配も順調に進行しており、T細胞の選択と機能を詳細に検討する体制が整いつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までに樹立したTCRトランスジェニックマウスと交配させたISC22欠損マウスの解析を行い、シグナル伝達の変化を検討する。同様に、ISC22を過剰発現するトランスジェニックマウスの表現型およびT細胞の活性化の解析を行う。また、特にCD4 T細胞の活性化によるIL-2産生におけるISC22の機能の検討を重点的に行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
主に遺伝子解析・細胞培養・抗体等の一般生化学試薬の購入に使用する。また、学会参加等、情報収集のための旅費に使用する予定である。
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