2012 Fiscal Year Annual Research Report
新規胸腺特異的遺伝子ISC22のT細胞分化・活性化における機能の解析
Project/Area Number |
23790554
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Research Institution | 独立行政法人国立国際医療研究センター |
Principal Investigator |
早川 国宏 独立行政法人国立国際医療研究センター, その他部局等, 研究員 (00573007)
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Keywords | 免疫学 / T細胞 / IL-2 / 活性化T細胞 |
Research Abstract |
免疫系において中心的な役割を果たしているT細胞は、胸腺内で正と負の選択を受けてレパートリーを形成することにより自己と非自己を識別できるようになる。また、末梢組織では、抗原を認識してサイトカイン産生することで、生体防御に重要な役割を果たしている。このようなT細胞の選択と活性化の分子メカニズムを解明することは免疫系の理解のみならず、免疫系疾患の新たな治療戦略の開発においても極めて重要である。我々は胸腺に特異的に発現する一連の未知遺伝子を「胸腺特異的遺伝子」として抽出・単離し解析を行っている。本研究は、胸腺特異的遺伝子のひとつである「ISC22」に着目し、T細胞の分化や活性化における機能および分子機序を解明することを第一の目的とした。 これまでの研究で得た知見の概要を以下に記す。 ISC22の発現をreal-time PCRを用いて様々な組織・細胞で検討した結果、T細胞で特に強い発現が見られ、T細胞集団の中でもナイーブCD4、CD8 T細胞が発現の高い集団であることを明らかにし、ISC22欠損マウス、ISC22を過剰発現するトランスジェニックマウス、およびこれらとTCRトランスジェニックマウスを交配したマウスを解析した結果、ISC22はT細胞の分化に積極的な関わりが無いことを明らかにした。一方で、末梢のCD4 T細胞では、TCR刺激による活性化を検討したところ、ISC22欠損マウスのCD4T細胞では、TCR刺激によるIL-2の産生が著明に減少することを明らかにした。 現在までの結果から、ISC22は末梢CD4 T細胞の活性化によるIL-2の産生に重要な役割を果たしている可能性が示唆された。
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