2011 Fiscal Year Research-status Report
医療分野における大学等研究成果の実用化プロセスに関する研究
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23790560
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
桝田 祥子 東京大学, 薬学研究科(研究院), 講師 (70508150)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | トランスレーショナルリサーチ / 臨床試験実施施設 / 知的財産権 / 技術移転 |
Research Abstract |
本研究は、医薬・医療分野において、大学等の研究成果の積極的な活用が求められていることを考慮し、今後の大学等技術移転に関する合理的な仕組みについて、医薬・医療分野の特性を踏まえて多面的に検討することを目的とする。特に、基礎研究成果からProof of Concept(POC)獲得にいたるまでの実用化プロセスにおける現状と課題を検討することで、近年、その重要性が議論されるようになってきているトランスレーショナルリサーチ(TR)のあるべき姿を考察することを目的とする。平成23年度は、日本国内のTR実施状況について、その基礎的情報として特許情報のデータベース構築を試行し、「新規性喪失の例外規定」の適用を受けた特許に関する解析を行った。しかし、TRの現状を評価するに十分な解析をするためには、さらなる工夫が必要であり、当該特許情報については、別の切り口で解析を試みることも含め、検討を進めていく予定である。また、TRにかかわる研究者、実務家等とのインタビューや意見交換、知財教育活動を共同で行うことにより、国内TR実施状況の把握に努めている。諸外国のTR実施状況については、7月にシンガポールで現地調査を行い、大学・研究機関4か所、臨床試験実施機関2か所、政府機関1か所、CRO1か所を訪問し、シンガポールのTR政策についてヒアリング調査を行った。研究代表者は2006年にも同様の訪問現地調査を行っており、5年前との比較から、臨床試験実施機関の形態が、その国でのTR(基礎研究成果が出た場所でPOCを取るまでの実用化プロセスを行うこと)の進め方に大きな影響を及ぼしているとの知見を得た。その結果を踏まえて、日本における臨床試験実施機関(特にFirst in Humanを行うことを想定して第1相試験実施機関)に関する実態調査を企画、実行中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
日本国内のTR実施状況を、特許情報を用いて定量的に分析することは、研究開始当初からある程度難航することが予想されていたため、並行して、インタビュー調査等で定性的な分析も行っている。国内状況の把握に関しては、全体として、23年度に達成すべき内容を満たしていると考える。諸外国に関する調査については、シンガポールの現地調査において、その後の研究の方向性を定める有用な情報が収集できた。しかし、他地域の調査に関しては、その必要性を認識しつつも、まだ十分に実施できていない状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
23年度に得られた知見を踏まえて、24年度は、(1)国内TR実施状況に関する定量分析(2)国内TR実施状況に関する実態調査(ヒアリング)を進めるとともに、(3)国内治験実施機関のTRにおける役割について調査を行う。また、諸外国との比較研究の事例を増やすために、近隣アジア諸国の現状や、ヨーロッパについても調査を進める予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
23年度から繰り越すこととなった研究費は、主として、データベース構築費用が抑制できたことにより発生した。24年度は、上記(3)国内治験実施機関のTRにおける役割についても調査を行う予定であるので、繰越分は、主として当該(3)の調査費用に充てる。
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