2012 Fiscal Year Research-status Report
因果連鎖オントロジーに基づく糖尿病の病態遷移予測に関する研究
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23790561
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
今井 健 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (90401075)
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Keywords | オントロジー / 糖尿病 / 病態遷移予測 |
Research Abstract |
本研究は糖尿病患者の状態を特定し、病態の進展・合併症の発症リスクを定量的に予測するモデルを開発するため、糖尿病関連領域の病態因果連鎖オントロジーの開発、そのオントロジーに基づく糖尿病病態遷移モデルの構築、同構築モデルの妥当性の検証、の3つを目的としている。本年度は以下のような研究を実施した。 (1) 糖尿病病態因果連鎖オントロジーの整備:既存の臨床医学オントロジーに関する成果(厚生労働省受託研究開発事業H22-H24) の進展に基づいて前年度の成果を修正し、糖尿病病態因果連鎖オントロジーβ版を作成した。 (2) 患者観察項目セットの確定:前年度下調査を行った患者観察項目セットに対し、日本医療情報学会・日本糖尿病学会の合同委員会で策定された糖尿病ミニマム項目セットも参考にしながら、データ入力用の観察項目セットを確定した。具体的には、診断名、入院回数、教育入院回数、糖尿病家族歴、喫煙歴、インスリン投与開始時、退院時インスリン投与の有無、退院時インスリン投与量、糖尿病内服薬、その他内服薬、LDL、HDL、TG、空腹時血糖値、HbA1c、糖尿病性腎症の有無・重症度、透析の有無・透析法・導入年月日、低血糖発作の有無、網膜症の有無・重症度・治療、自律神経障害・末梢神経障害の有無、大血管障害の有無・部位、蛋白尿、AB/C比、sCPR、sCr、GFR、各種既往症、各種合併症などである。 (3) 患者観察項目抽出データの作成:本院糖尿病代謝内科において複数回入院している患者の退院サマリーを対象に、上記(2)の項目セットに基づいて、観察項目データベースの作成(第一段階)を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究で目的とする糖尿病病態遷移モデル構築に必要な基盤である、糖尿病病態因果連鎖オントロジーの構築については順調に進展している。また患者観察項目セットも確定し、それに基づいて東大病院糖尿病代謝内科における退院サマリーからの実データ抽出も順調に進展している。一方で、経時変化を得るためのデータに関しては件数がまだ少ないことから今後さらに拡充を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も引き続き観察項目データベースの拡充を行い、最終的に経時変化が得られた患者データを元にして、病態因果連鎖オントロジーへのマッピングを行う。 また以上の情報を元に、因果連鎖パス上で観測された病態ノードの間を時間的に平均的に移行したと仮定し、遷移確率の推定を行う。現在の観察項目は種類が多く、また全ての項目が患者ごとに得られている訳ではないことから、統計的手法により主要な項目に絞り込んだ上で病態遷移モデルの構築を行う方針である。 また先行研究における経験的な病態遷移モデルの知見との比較検討も予定している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度では、引き続き患者診療情報からの観察項目データ抽出作業を行い、観察項目データベースの拡充、ならびに病態因果連鎖オントロジーへのマッピング作業を行う。このために補助事業者への人件費支出を行う予定である。また関連領域における研究成果調査並びに発表も検討しており、このためも旅費支出も予定している。
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Research Products
(1 results)