2012 Fiscal Year Annual Research Report
安心・満足・信頼の医療を実現する地域医療評価要因の探索及び地域医療評価方法の開発
Project/Area Number |
23790562
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
井階 友貴 福井大学, 医学部, 講師 (10554777)
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Keywords | 地域医療 |
Research Abstract |
特徴的な地域住民の医療評価要因を、都心、地方都市、山村・漁村、離島の4つの地域住民を対象に、個別/グループで半構造化インタビューを行った。分析はSCATを用いて行い、理論的飽和に達するまで対象の確保と分析を繰り返し、得られた結果は郵送によるメンバーチェッキングを行った。「かかりつけ医と専門医の連携に感じる安心」「十分なコミュニケーションによる医療関係者への信頼」など、いずれの地域でも共通の理想として意識されていたことも多かったが、都心・地方都市での「専門医同士の連携に感じる安心」や、離島での「昔ながらの生活を送ることで保たれる健康」など、各地域に特有の意識も少なからず存在しており、各地域を特徴づけることができた。また、これらの共通/特有の意識を概念図上で整理すると、「医療技術への信頼」「医療者の人間性に対する信頼」「最適な治療を受けられる環境への期待」などと関連しながら、普段の生活の中での安心として意識されていることも確認できた。 その後のアンケート調査は、全国、東京23区、人口1万人以下の町村、離島を対象に実施した。上記探索的調査から得られた「医療者への信頼」「医療の満足」「生活の安心」の3領域のレベルと、各々の領域内のサブカテゴリー(「十分にコミュニケーションが取れる」、「かかりつけ医の診療能力が高い」「医療費の負担が少ない」など)のレベルは、各地域で相関する傾向が見られた。 以上の結果より、住民の理想とする医療に関して、共通/特有の意識およびそれらと関連する共通の概念が明らかとなるとともに、医療を評価する新たな指標として、「医療者への信頼」「医療の満足」「生活の安心」の3領域を中心とした項目によるアンケートが通用する可能性が示唆された。地域に根差して活動する医療者にとって、各地域の特徴を理解した上でより効果的に地域にアプローチできる、重要な知見であると考えられた。
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