2011 Fiscal Year Research-status Report
老老介護世帯の在宅介護継続に向けた諸要因とコミュニティとの関連
Project/Area Number |
23790572
|
Research Institution | Ibaraki Prefectural University of Health Science |
Principal Investigator |
堀田 和司 茨城県立医療大学, 保健医療学部, 助教 (00569121)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | 老老介護 / 介護負担感 / 介護肯定感 / 在宅介護継続 |
Research Abstract |
本研究は、老老介護世帯の生活状況や主介護者の介護負担感と介護への肯定感それぞれの側面と、在宅介護継続に関連する介護サービスやコミュニティサービスについて検討し、高齢者のみ世帯が安心して生活できる支援策を明確化することを目的としている。平成23年度は、老老介護世帯、非老老介護世帯の生活状況、主介護者の介護負担感、介護肯定感と在宅介護継続についての関連を明らかにするため、本研究に関連する先行研究の結果、研究状況を踏まえ、質問紙を作成し調査を実施した。本調査の質問紙は、在宅介護継続意志、主観的健康感、1日の介護時間、日常生活動作(以下ADL:Activities of Daily Living:Barthel Index)、別居家族からの支援状況、主介護者の介護負担感(Zalit介護負担感スケール8項目版:ZBI-8)、介護肯定感、利用している介護サービスと頻度、主介護者の生活の質(QOL;SF-8-short-form health survey)である。調査は、茨城県内全市町村の社会福祉協議会(44市町村、全77事業所)を対象に調査協力を依頼し、各事業所ごとに、老老介護世帯10世帯、非老老介護世帯10世帯、計20部の質問紙を配布した。調査の実施については、各事業所の担当ケアマネジャーが担当する介護保険サービス利用世帯について、訪問時に質問紙を配布、次月訪問時に調査票を回収し、研究実施者に返送することとした。現在、調査実施中であり、調査票の回収に伴い分析を実施している。また、地域高齢者を対象としたコミュニティサービスについては、茨城県内2市の地域包括支援センターについて聞き取り調査を実施し、サービス実施の頻度、内容、定員と参加状況、サービス提供方法を反映させた、コミュニティサービスに関する質問紙調査票を作成している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度における研究実施計画は、老老介護世帯、非老老介護世帯の生活状況、主介護者の介護負担感、介護肯定感と在宅介護継続の関連を明らかにするため、、(1)老老介護世帯の生活概要を把握、(2)介護者の在宅介護継続の意思および、介護負担感、介護肯定感の両側面に関連する要因の明確化を目的とした調査を実施することである。現在の研究達成度としては、調査対象を、茨城県内全市町村の社会福祉協議会(44市町村、全77事業所)とし、各事業所ごとに、老老介護世帯10世帯、非老老介護世帯10世帯の計20世帯への調査を依頼が完了している。調査の実施については、各事業所のケアマネジャーが行っている月一度の訪問時に配布、次訪問時に回収を実施するため、現在の回収状況は数事業所に止まっている状況である。しかしながら、調査票回収の修了は平成24年度上半期中とあらかじめ設定していることから、回収状況については、おおむね順調であると考えられる。また、今年度は、調査票配布後に平成25年度の研究実施を計画している(3)調査実施地域で実施されている地域コミュニティサービスについての把握にむけ、2自治体地域包括支援センターについて、地域コミュニティサービスの現状に関する事前調査を実施しており、事前調査をもとに地域コミュニティサービスに関する質問紙調査の作成段階に入っている。以上のことより、老老介護世帯、非老老介護世帯にむけた調査回収状況については若干の遅れが認められるが、平成25年度の調査に向けた準備は計画に比べ進行しており、研究全体としての達成度はおおむね順調に進行しているといえる。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度に配布した、老老介護世帯、非老老介護世帯の生活状況、主介護者の介護負担感、介護肯定感と在宅介護継続についての関連を明らかにするための調査について、調査票回収を実施する。回収の状況に応じて(1)未回収世帯に対し文書での調査票返送依頼書を送付する。(2)目標サンプル数(1200世帯)に満たない部分に関しては、各市町村に属する居宅介護支援事業所からランダムに2施設ずつをサンプリングし、調査協力依頼事業所を決定、追加調査を実施する。以上を平成24年度上半期を上限とし調査を終了し、結果の集計および分析の段階に進行させる。回収サンプルの結果の集計および分析より、、、(1)老老介護世帯の生活概要を把握、(2)介護者の在宅介護継続の意思および、介護負担感、介護肯定感の両側面に関連する要因の明確化、(3)老老介護世帯、非老老介護世帯の結果比較から、老老介護世帯における介護者の在宅介護継続の意思および、介護負担感、介護肯定感の両側面に関連する要因の明確化につなげる。また、老老介護世帯の主介護者の介護負担感、介護肯定感について地域別での検討を行い、介護負担感の高い地域と低い地域、介護肯定感の高い地域と低い地域それぞれの地域性と、コミュニティサービスの現状を調査し、各自治体の有するコミュニティサービスの内容、実施頻度、参加者の特徴、介護世帯の主介護者の利用状況と利用の際の問題点を明らかにし、主介護者が容易にかつ安心して利用できる介護サービスのあり方や支援策、コミュニティのあり方を明確化する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度計上した研究費について、調査に伴う謝金の使用実績がなく、すべてを次年度に繰り越すこととした。これは、平成23年度に使用を計画した調査協力費を、調査回収終了後に一括して郵送することとに変更したためであり、、平成24年度での研究費使用に変更することとしたためである。よって、老老介護世帯、非老老介護世帯を対象とした質問紙調査回収後には、調査協力事業所および担当ケアマネジャー、調査票回答者に対する謝金(事業所協力者77箇所×5000円,調査票回答者1200名×500円)の算出を予定している。必要に応じて実施する追加調査が必要になった場合には、追加調査を依頼する調査事業所に属する担当ケアマネジャーに対する謝金、追加調査時の郵送費が必要となる。また、サンプル集計および分析において必要となるパーソナルコンピュータ、ディスプレイなど設備備品購入費として400000円程度の算出を見込んでいる。成果報告、学術大会の参加については、日本作業療法学会への参加(研究実施者、研究協力者140000円)、日本公衆衛生学会総会への参加(研究実施者70000円)、日本プライマリ・ケア連合学会への参加(研究実施者70000円)における学会参加費および旅費の算出を見込んでいる。その他、調査研究旅費(50000円)、事務用品(50000円)での研究費使用を計画。
|