2011 Fiscal Year Research-status Report
判断能力を欠く在宅患者の終末期医療:関係者の治療方針についての意識の分析
Project/Area Number |
23790575
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Research Institution | University of Kochi |
Principal Investigator |
上白木 悦子 高知県立大学, 社会福祉学部, 講師 (90551127)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 終末期医療 / 在宅療養患者 / 判断能力 / 医療方針の決定 / チーム医療 / 生命維持治療の差し控え・中止 |
Research Abstract |
<研究の背景・目的・意義> 現在、日本では、関連する医療政策等により、在宅で療養を受ける患者の数が、増加している。そうした患者の中には、判断能力を欠く患者の数も増加するようになっている。患者が判断能力を欠くような場合においては、医療の方針の決定等に関して、患者の事前の意思を推定することは困難であることが多い。そこに、在宅医療における具体的な医療を誰の意向に基づいて実施するべきか、特に、生命に関わる、終末期医療の方針決定において、患者の家族はどう考えるのか、医療従事者はどのように行動するべきか等、検討すべき課題が数多く存在する。そこで、本研究では、一般市民・ケアマネジャー・訪問看護師の関連意識を明らかにすることを目的として、質問紙調査を実施した。本調査により、終末期医療に対する一般市民や医療従事者の意識、市民や関係者間の意識の相違が正確に明らかになる。この点等において、本研究の意義がある。<研究の成果> 1年目である平成23年度は、終末期医療に対する一般市民・ケアマネジャー・訪問看護師の意識について、質問紙調査を実施した。1. 方法:郵送による質問紙調査(無記名・自記式)、2. 対象者:(1)居宅介護支援事業所2,180施設(全数の6%)のケアマネジャー、(2)訪問看護ステーション360施設(全数の6%)の訪問看護師(左記(1)(2)ともにWAM NETのリストから無作為に抽出した者)、(3)一般市民1,000名(アンケート調査会社に委託し、性別・年齢等の点から無作為に抽出した者)、3. 調査期間:平成24年2月23日~同年3月23日、4. 質問紙の内容(大項目):(1)判断能力を欠く在宅療養患者に対する医療の進め方について―患者の事前の意思がない場合、(2)患者の余命と、生命維持治療の差し控え・中止について、(3)回答者の属性、(4)自由回答欄
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要欄で示した通り、本研究は、質問紙調査を中心とするものである。1年目である平成23年度は、終末期医療に対する一般市民・ケアマネジャー・訪問看護師の意識についての質問紙調査を実施した。 対象者(居宅介護支援事業所2,180施設のケアマネジャー、訪問看護ステーション360施設の訪問看護師、一般市民1,000名)にそれぞれ、質問紙を配布し、回収した(平成24年2月23日~同年3月23日)。 現在、回答データの入力・整理・統計学的解析の各作業を進めており、研究の達成度としては、おおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目は、1年目に行った質問紙調査の結果(データ)を集計し、統計学的解析を行う。また、必要に応じて、関連する文献調査や聞き取り調査を行う。これらの結果をもとに研究科題名として示す内容について、考察を行う。 これらの結果をもとに、報告書・広報用リーフレットを作成する。また、進行途中で、適宜、その時点までの研究成果等につき、学会・研究会での発表、国内外の学術雑誌への論文投稿を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23年度の執行予定金額を次年度に繰り越した主な理由としては、平成23年度の交付決定額の交付時期が延期されたため(東日本大震災の影響による)、聞き取り調査等の計画を立てにくかったことにある。1. 旅費:720,000円 平成24年度は、推進方策欄に示したように、主として、調査結果の分析を行う予定である。これらの分析は、追加の聞き取り調査や関連する研究を行っている研究者への意見の徴収を行いながら実施する。これら調査に伴う旅費として使用する。2. 人件費・謝金:240,000円 平成23年度に実施した質問紙調査で得られたデータを入力・整理する作業については、アルバイト、また、上記1. の研究者への専門的知識の提供に対して謝金として使用する。3. その他:700,000円 書籍や文具の購入費、論文の英文校正料、印刷費、通信費、郵送費等に使用する。
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