2012 Fiscal Year Annual Research Report
判断能力を欠く在宅患者の終末期医療:関係者の治療方針についての意識の分析
Project/Area Number |
23790575
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Research Institution | 高知県立大学 |
Principal Investigator |
上白木 悦子 高知県立大学, 社会福祉学部, 講師 (90551127)
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Keywords | 終末期医療 / 在宅療養患者 / 判断能力 / 医療方針の決定 / チーム医療 / 生命維持治療の差し控え・中止 |
Research Abstract |
1. 背景・目的 現在、日本では、関連する医療政策等により、在宅で療養を受ける患者の数が増加している。そうした患者が判断能力を欠く場合、医療方針の決定に関して、患者の事前の意思を推定することは困難であることが多い。そこに、在宅での医療を誰の意向に基づいて実施すべきか、家族はどう考えるのか、医療従事者はどう行動するべきか等、検討すべき課題が存在する。そこで、本研究では、一般市民・ケアマネジャー(CM)・訪問看護師(Ns)の関連意識を明らかにすることを目的とする。本調査により、終末期医療に対する一般市民や医療従事者の意識、市民や関係者間の意識の相違が正確に明らかになる。この点において、本研究の意義及び重要性がある。 2. 方法 1)方法:質問紙調査 2)対象者:(1)居宅介護支援事業所2180施設のCM、(2)訪問看護ステーション360施設のNs(左記(1)(2)共にWAM NETから無作為に抽出。全数の6%)、(3)一般市民1000名(調査会社により無作為に抽出) 3)期間:平成24年2~3月 3. 結果 判断能力を欠く在宅療養患者が終末期の状態に陥った場合の事例を設定した設問に対し、医療の場について一般市民の84.0%は、「患者を病院へ搬送してほしい」、16.0%は「病院へ搬送してほしくない」とした。また、後者の場合、どのように対応すべきかにつき、医療従事者に尋ねたところ、「家族の意向を尊重し、在宅で治療を継続すべきと思う」としたCMは80.9%、Nsは92.3%であった。つまり一般市民は、終末期の医療の場を在宅よりも医療機関で迎えたいと考えていた。また医療従事者は、本人の意向よりも家族の意向を尊重し、医療方針の決定を行うと考える傾向があった。冒頭に示したように、終末期医療における患者の意向に関わる問題は、日本において一層大きな課題となると考えられ、今後も当該研究を進める。
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