2011 Fiscal Year Research-status Report
専門職間連携教育用シミュレーション型演習の開発に関する研究
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23790583
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
秋山 健一 日本医科大学, 医学部, 助教 (50465283)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 多職種連携 |
Research Abstract |
本研究では、これからの超高齢社会において主流となる「慢性期医療」に必要な、新しい医療環境モデル、すなわち医療、保健、福祉の3分野における専門職種間の連携教育である「専門職間連携教育(inter-professional education, IPE)」プログラムを、効果的なシミュレーション型教育手法を用いて開発する事を目的とした。シミュレーション型教育手法を用いることで職種を超えた疑似体験が可能となり、新しいタイプのIPE教材を開発することが可能になると思われる。今年度は、効果的な専門職間連携教育(IPE)のためのシミュレーション教育教材開発のための準備段階、及びケーススタディ開発を目的として、以下を検討した。まず、研究代表者、および研究協力者の長谷川敏彦日本医科大学医療管理学教室教授と加藤尚子国際医療福祉大学准教授の国内外のネットワークを用いて、国内、および欧米の医学教育分野におけるIPEに関する現状の分析を行った。具体的には国内における福祉施設訪問と同時に医療系多職種に対するヒアリング等を行い、また現地調査と医学生教育を目的とした、「地域医療空間的体験実習」を本学の授業の一環で行った。次に、これらを踏まえてシミュレーション型教育方法を用いたIPEの可能性につき検討した。具体的には、「慢性期医療」におけるIPW(専門職間協同)の一般的なケースを、ネットワークを利用した関係者等のヒアリング等にて抽出したうえで想定し、それに沿う形でシミュレーションケースを作成した。現在、どのような形の教育手法が最も効果的かどうかにつき、引き続きケース作成を実施して検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の研究目的は、効果的な専門職間連携教育(IPE)のためのシミュレーション教育教材開発とその評価方法を開発するため、以下を検討することであった。1.まず研究代表者の国内外のネットワークを用いて、国内、および欧米の医学教育分野におけるIPEに関する現状の分析を行う。これに関しては、欧米の医学教育分野に関しては、論文等の解析、また国内の現状に関しては、学会参加(第4回日本保健医療福祉連携教育学会)や老人健康施設訪問と医療系職種に対するヒアリングの実施、及び、地域医療に携わる在宅医療専門クリニックにおける在宅医との往診同行等によりほぼ現状の理解を達成した。次に、2.シミュレーション型教育方法を用いたIPEの可能性につき検討する。具体的には、「慢性期医療」におけるIPW(専門職間協同)の一般的なケースを、研究代表者のネットワークを利用した関係者等のヒアリング等にて抽出したうえで想定し、それに沿う形でシミュレーションを組んでいく。これに関しては、1.を基にさまざまなケースを作成した。また学生の多職種連携の理解を深めるための「地域医療空間的体験実習」を本学4年次医学生に対して足立区の協力を得て実施し、効果的な手法に関して検討した。以上から、1.2.共に、今年度はほぼ研究計画通りに達成したが、今後はこれらの土台を元にケースを基本とした実際のシミュレーションドリルに落とし込み、かつ学生に対して実践と評価する必要があり、来年度の目標としたい。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度においては、今年度に進んだパイロットケースを教育プログラムとして、研究者が所属する日本医科大学および看護学校、また研究協力者の所属する国際医療福祉大学の医療福祉専門職を目指す学生に対して、パイロット的に実施する事を目指す。一方、まだどのようなシミュレーション手法が最も効果的については検討の余地があるため、引き続きケース作成と並行して手法の検討も行う。最終的なプログラムの実施に関しては、当教室員、及び実施施設の関係者の支援を得ることで実施可能であると考えている。パイロット訓練に関してのアンケート調査等の評価を実施し、本訓練のインパクト及び教材の実現性に関する実証的検証を行い、エビデンスの明確化を図る。その後問題点を検討し、改善したのち他施設においても実施する。特に医学生、看護学生、医療福祉専門職を目指す学生等が合同でプログラムを実施することを試み、更にはその普及に努める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度は19,510円が次年度に使用する研究費として生じたが、その理由としては、今年度に必要な研究費を全て使用したところ、本金額が残ったためであり、次年度において有効に使用することとした。次年度は、まず物品として、シミュレーション演習やケーススタディ演習で使用する小物類やデータ整理に必要な記憶媒体等に219,510円を使用し、他に旅費として、国内調査研究旅費、研究打合せ旅費、成果発表等に100,000円を使用する予定である。さらに本研究の研究支援者等に対して謝金賃金で600,000万円、研究成果のパッケージ化に必要なケース、パンフレット、報告書等の印刷に550,000万円使用する予定である。また、海外演習例・論文等の分析や翻訳に150,000万円を使用する予定である。
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