2012 Fiscal Year Annual Research Report
V1のドパミン生合成酵素群の発現制御機構を標的にした新規パーキンソン病治療法開発
Project/Area Number |
23790594
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
川畑 伊知郎 東北大学, 薬学研究科(研究院), 助教 (30579743)
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Keywords | V-1 / tyrosine hydroxylase / dopa decarboxylase / dopamine / actin / RhoA / SRF / cofilin |
Research Abstract |
本研究ではV-1タンパク質によるアクチン重合依存的なドパミン(DA)生合成酵素群の新規発現制御カスケードを標的とした新たなパーキンソン病(PD)治療法開発を目的とした。これはPDの根本的治療法を開発するうえでDA生合成酵素群の協調的発現増強を図るための重要な意義がある。本申請により新たに確立した黒質DA作動性ニューロン初代培養系、およびPC12D細胞とHeLa細胞を用い、V-1によるアクチン重合依存的なDA生合成酵素群、具体的にはDA生合成に必要なチロシン水酸化酵素(TH)およびドーパ脱炭酸酵素(DDC)の発現制御機構を解析した。その結果、V-1がアクチン重合制御因子であるRhoAを活性化しRho/ROCK/LIMK/cofilin経路を介してアクチン重合を促進させ、MAL/SRFシグナルを増強する新規カスケードが明らかとなった。またV-1発現レベルに応じてG-actinプールサイズが増減し、V-1過剰発現によりMALの核内移行が亢進することでSRF依存的転写活性が増強されることが示された。さらにTHおよびDDC遺伝子上のSRF応答配列を同定し、V-1発現レベル依存的にTHおよびDDC上のSRF応答配列に結合するSRFタンパク質量が変化することをChIPアッセイにより検証した。同時に、V-1発現レベル依存的にTHとDDCの転写活性、mRNAレベルおよびタンパク質レベルが制御されることを明らかし、in vivoでもこれらの発現増強が確認できた。以上の結果から、V-1がRhoA依存的なアクチン重合促進を介したMAL/SRF依存的転写活性の促進によりDA生合成酵素群の遺伝子発現を増強する新規制御カスケードが明らかとなり、神経変性と黒質線条体DA量低下を伴うPDにおけるアクチン重合促進とDA生合成酵素群発現量の連関的増強を標的としたPDの根本的治療への応用が期待できると考えられる。
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