2011 Fiscal Year Research-status Report
不安定プラークを特異的に検出する新規ナノテクノロジー動脈硬化診断法の開発
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23790600
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
小川 弘子 岡山大学, 大学病院, 助教 (70423283)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | イメージング / 動脈硬化 |
Research Abstract |
本研究は、不安定プラークを標的としたリポソームを用いることにより、危険な動脈硬化を体外から検出する診断法を開発する事を目標としている。(1)不安定プラークに特異的な集積をするリポソームの作成とin vivo imagingプラーク内皮に発現している細胞接着分子のCD40に対する抗体を市販のラベリングキットを用いて、リポソームに修飾した。次に、生体内でのリポソームの確認とin vivo imagingを行った。動脈硬化モデルとしてアポリポプロテインE欠損マウスにWestern Type Dietを負荷したマウスを用いた。作成した抗体修飾Cy3蛍光内包リポソームと、既に市販されているE-selectinと特異的に結合するシアリルLex系抗原(SLX)修飾リポソームを、それぞれマウスに尾静注し、24時間後に観察を行った。実体顕微鏡下に摘出した大動脈を摘出し、蛍光顕微鏡で観察を行った。また、Cy3蛍光内包リポソームを投与したマウス大動脈の薄切切片を作成し、HE染色、脂肪染色、膠原線維染色、炎症細胞の免疫染色を行った。抗体修飾リポソームとSLX修飾リポソームとの比較を行ったところ、動脈硬化モデルマウスへの投与において、SLX修飾リポソームの方が動脈硬化巣への到達が良いと考えられた。(2)プラークへのリポソームの到達機序金コロイドを内包したリポソームを動脈硬化モデルマウスに静注後、大動脈の電顕用ブロックを作成した。超薄切標本を電子顕微鏡を用いて観察し、金コロイドがどの細胞のどの器官に到達しているかを確認した。内皮細胞内にリポソームにより運ばれたと考えられる金コロイドの集積を確認することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
プラーク内皮に発現している細胞接着分子のCD40に対する抗体を市販のラベリングキットを用いて、リポソームに修飾した。Western Type Dietを負荷したアポリポプロテインE欠損マウスを動脈硬化モデルマウスとして用い、この抗体修飾リポソームが、動脈硬化巣に取り込まれることをin vivo imaging、組織の薄切切片の観察により評価を行った。研究当初は、作成した抗体修飾リポソームのほうが、既に市販されているE-selectinと特異的に結合するシアリルLex系抗原(SLX)修飾リポソームに比べ、動脈硬化巣への取り込み効率が増すと考えていた。しかし、動脈硬化巣へのリポソームの取り込み量の評価により、抗体修飾リポソームに比べ、SLX修飾リポソームの方が動脈硬化巣への到達が良いと考えられた。その結果により、使用するリポソームは、抗体修飾リポソームから糖鎖修飾リポソームへと変更としたが、予定していた研究計画は進行しており、研究結果を得る事ができている。そのため、全体としては、おおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
薬剤内包リポソームを作成し、動脈硬化モデルマウスへの投与により、その効果を検討する。1). 薬剤内包リポソームの作成受託製造サービスを利用し、プラークの被膜を溶かし、破綻の原因となる細胞外マトリックス分解酵素の阻害剤をリポソームに内包化する。具体的には、MMP2、MMP9の阻害剤を予定している。また、炎症に重要なシグナル伝達経路であるNFκ-Bを阻害する薬剤の内包化も検討する。リポソームへの内包化の効率は、内包物質によって異なっており、実際に内包化を行ってみないと効率がわからない物質も多く存在する。そのため、いくつかの候補薬剤の内包化を試み、内包可能であった物質について、下記の検討を行う予定である。2).薬剤内包リポソームによる動脈硬化モデルマウスの治療効果判定WTD負荷ApoE KOに薬剤内包リポソームを静注24時間後、展開標本と薄切標本を作製する。in vivo imaging、展開標本作成の脂肪染色を行いプラーク退縮効果を確認する。また、薄切標本の脂肪染色、コラーゲン染色、炎症性サイトカインやMMPなどの免疫染色を行い、プラークの性状の検討を行い、プラーク安定化効果を検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今後の研究の推進方策としては、薬剤内包リポソームの作成がカギとなる。薬剤内包リポソームの作成は、簡単に行えものではないため、受託製造サービスを利用する。受託製造サービスに対し、研究費を使用する。また、薬剤内包リポソームによる動脈硬化モデルマウスの治療効果判定を行うために、今年度に続き、動脈硬化モデルマウスとなるマウスの飼育、維持のために、研究費を使用する。また、治療効果判定のために、in vivo imagingを共同使用機器を利用して施行したり、薄切切片の観察にレーザー蛍光顕微鏡を用いて観察を行う予定である。その共同利用機器の利用料などに研究費を使用する。また、薄切切片の免疫染色を行う試薬などについても研究費の使用を予定している。
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Research Products
(4 results)