2012 Fiscal Year Annual Research Report
宿主ゲノムへの挿入がない単一造血系遺伝病に対する安全な遺伝子治療法の開発
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23790602
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
吉田 久美 九州大学, 薬学研究科(研究院), 特任助教 (80553271)
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Keywords | 遺伝子治療 / 単一遺伝子欠損症 |
Research Abstract |
これまで、GFP遺伝子搭載rSeVにて遺伝子導入された移植骨髄より全血球系の再構築がなされることを報告しているが、半永久的な遺伝子導入蛋白の発現を維持するまでには至っていない。そこで、 特に、rSeVの造血幹細胞の生体内での自己複製能に与える影響と関連して、体内での活性酸素種・Ca2+ の動態を調べることで、遺伝子欠失型疾患への遺伝子補充療法への突破口を探索した。①rSeVの造血幹細胞(HSCs)に対する影響を調べる為、CaR、CXCR4、Tie-2、N-cadherin骨髄のnicheへの定着維持に必要と言われている種々の細胞表面蛋白群)の発現変化を検討したが、特に大きな変化は見られなかった。また、②rSeVにて遺伝子導入された骨髄細胞移植マウス血中のCa2+濃度、Caと関わって反応のあるホルモン分泌(PTH等)について検討したところ、血清中のCa2+濃度が一過性に低下し、その時期に合わせてCa2+と関連して変化のみられるホルモンであるPTHの上昇がみられた。③rSeVにて遺伝子導入された骨髄移植マウスにおいて、抗酸化剤を投与した場合血中の遺伝子発現の期間の変化を検討したところ血球系細胞において導入遺伝子発現の延長がみられた。しかし、その発現は移植後徐々に低下し、遺伝子発現の半永久的維持には至らなかった。また、GFP遺伝子搭載rSeVにて遺伝子導入したマウスES細胞を受精卵に挿入しトランスジェニックマウスを作成したところ、GFP発現を認めた個体は、出生後1日以内に死亡した。これらのことより、rSeVにて遺伝子導入造血幹細胞の胎児での肝臓での造血に異常がないことが分かったが、骨髄中のCa濃度の異常による出生後の骨髄での造血に何らかの影響をおよぼした可能性も考えられ、rSeVにて導入した遺伝子の半永久的発現の維持においてCa2+及び活性酸素種の関与の可能性を示唆している。
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