2012 Fiscal Year Annual Research Report
プロドラッグを代謝する薬物代謝酵素の遺伝的多型の臨床的意義について
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23790604
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
須崎 友紀 大阪大学, 医学部附属病院, 特任講師(常勤) (50527645)
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Keywords | CES1 / プロドラッグ / 遺伝子多型 |
Research Abstract |
カルボキシルエステラーゼ(CES)は,エステル結合やアミド結合によって分子修飾されたプロドラッグなどの医薬品の代謝活性化過程で重要な役割を果たしている薬物代謝酵素である。CES1酵素にはCES1A1 およびCES1A2、CES1A1 variant、CES1A3の4つの遺伝子が存在する。これらの組み合わせで4つのハプロタイプ(Haplotype A:CES1A3/CES1A1, Haplotype B: CES1A2/CES1A1, Haplotype C: CES1A3/CES1A1 variant, Haplotype D: CES1A2/CES1A1 variant)が確認されている。このうちCES1A3は、蛋白発現につながらない偽遺伝子である。本酵素の個人差の原因については、ほとんど検討が行われていないため、オセルタミビル代謝における薬物血中濃度の差及び副作用がCES1遺伝多型による機能遺伝子数の違いに起因するかを検討する。 健康成人30名を対象とし、オープン試験で実施した。オセルタミビル75mgを単回経口投与し、オセルタミビル投与前及び投与後啓示的に血漿中オセルタミビル(未変化体)及びオセルタミビルカルボキシル体(活性代謝物)濃度測定のための採血を行い、薬物動態パラメーターを評価した。CES1遺伝子多型による機能遺伝子数3が24名、機能遺伝子数4が6名であった。重篤な有害事象は認めなかった。今回解析したCES1遺伝子多型による機能遺伝子数の違いでオセルタミビル(未変化体)及びオセルタミビルカルボキシル体(活性代謝物)の薬物動態に有意な差は認められなかった。しかし、オセルタミビル血漿中濃度が著しく高値を示す被験者1例の存在を確認した。CES1遺伝子多型によって有意な差は認められなかったが、カルボキシルエステラーゼの個人差についてはさらなる検討が必要であると考えられた。
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Research Products
(2 results)