2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23790611
|
Research Institution | National Institute of Health Sciences |
Principal Investigator |
杉山 永見子 国立医薬品食品衛生研究所, 医薬安全科学部, 研究助手 (40574695)
|
Keywords | 反応性代謝物 / 重症薬疹 / アロプリノール |
Research Abstract |
本研究の目的は、フェニトイン及びアロプリノールをモデル医薬品として、不明な点が多いスティーブンス・ジョンソン症候群及び中毒性表皮壊死症の初期メカニズムを明らかにすることである。医薬品が代謝活性化を受けて蛋白質と共有結合するかどうかを明らかにするため、ヒト肝組織由来試料を用いて、反応性代物と生体内蛋白質との共有結合体(アダクト)生成の条件検討を行った。14C標識アロプリノールは合成依頼品であるため、まず入手容易な14C標識フェニトインを用いた実験を行った。 14C標識した薬剤をサイトゾル、ミクロソーム画分及びヒト初代肝細胞と反応させ、得られた抽出蛋白についてSDS-PAGEを行い、ゲルをPVDFメンブランに転写後またはゲルをゲルドライヤーで乾燥後、放射性同位体検出用プレートに露光した。14C標識フェニトインを用いた実験では、NADPH添加条件下でミクロソームと反応させた沈殿画分及びヒト初代肝細胞と反応させて得られた抽出蛋白で、14C標識フェニトインが結合したと推定されるアダクト蛋白質のバンドが検出された。14C標識アロプリノールを用いた実験では、NADPH添加条件下でサイトゾルのみ、サイトゾルにミクロソームを加え反応させて得られた抽出蛋白、及びヒト初代肝細胞と反応させて得られた抽出蛋白では明確なバンドは検出されなかった。しかし、ヒト初代肝細胞を破砕して得られたホモジネートをNADPH添加条件下で反応させ、その沈殿画分から抽出した蛋白で、75-100KDa付近にバンドが検出された。このバンドは14C標識アロプリノールが結合したと推定されるアダクト蛋白質と考えられる。アロプリノールの主な代謝経路には、P450の関連を示すものは報告されていないが、この結果は、アロプリノールが生体内でアダクトを生成する際、P450が関わっていることを示唆するものである。
|