2011 Fiscal Year Research-status Report
血清中エキソソーム内アンチセンスRNAによる新たな大腸癌スクリーニング法の開発
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23790613
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
千葉 満 弘前大学, 保健学研究科, 助教 (20583735)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | アンチセンスRNA / エキソソーム / 大腸癌 / スクリーニング |
Research Abstract |
本研究課題は新たな大腸癌バイオマーカーを見つけるためのin vitro・in vivoの基礎検討を行うものである。今年度はまず大腸癌細胞株から分泌されるエキソソーム内在性のmicroRNA種の同定を検討した。また培養上清と血清中のエキソソーム内在性アンチセンスRNAの同定のための微量RNA増幅法の確立を検討した。 大腸癌細胞株由来のエキソソームは超遠心法によって回収した。回収したエキソソームにはエキソソームマーカーとして知られているテトラスパニンファミリーのCD63、CD9、CD81抗原の存在がウエスタンブロットによって確認できた。次に回収したエキソソームからRNAの単離を検討したところ、培養上清100ml当たり数ng程度のRNAが回収できた。これらのRNAサイズを調べたところ、small RNAが多いことが明らかになった。エキソソームに内在するmicroRNAをマイクロアレイ法によって多数同定し、現在解析中である。またエキソソーム内在性のmRNAやアンチセンスRNAをマイクロアレイ解析によって同定するにはRNA量が微量であるため、微量RNA増幅法としてTALPAT法とRibo-SPIA法を検討した。その結果、いずれの方法もエキソソームに内在する微量RNAの増幅が可能であった。 本研究の将来の目標はヒト大腸癌の診断に有用なバイオマーカーを見つけることである。申請者はこれまで共同研究によりヒト大腸癌組織に特異的に発現するアンチセンスRNAをこれまで同定してきた。現在、臨床のヒト大腸癌患者の血清からエキソソームを単離して、大腸癌患者特異的な血清中エキソソーム内在性アンチセンスRNAを同定する研究計画を立てている。臨床における有用性が確認できれば、大腸癌患者の減少、死亡率の低下、さらには医療費の削減へとつながるため、非常に意義のある研究である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
1.大腸癌モデル動物の血清中癌特異的アンチセンスRNAの探索と組織発現との相関(達成度60%) 現在はアゾキシメタンによる大腸癌モデル動物の作製を検討している。このモデル動物から血清を採取し、エキソソームを単離して微量RNA増幅による血清中エキソソーム内在性アンチセンスRNAバイオマーカー候補の同定を進める予定である。エキソソーム内在性の微量RNAの増幅の検討は良好な結果が得られているので今後の解析はスムーズに進むと考えられる。2.ヒト大腸癌培養細胞上清や培養細胞におけるアンチセンスRNAの検出(達成度80%) 大腸癌細胞株由来エキソソーム内に存在するRNA量を定量した結果、非常にRNA量が微量であることが明らかになったため、網羅的解析には微量RNA増幅法の検討が必要になった。本年度は微量RNA増幅法の検討も行い、良好な結果を得た。来年度はこの方法を応用して大腸癌細胞株由来エキソソームに内在するアンチセンスRNAの同定を検討する。
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Strategy for Future Research Activity |
現在では大腸癌細胞株から分泌されるエキソソーム内在性アンチセンスRNAの網羅的解析への準備を進めている。さらに大腸癌誘発モデル動物の作成も検討しており、今後は実際に大腸癌誘発モデル動物によって変動する血清中アンチセンスRNAの同定と、エキソソームの生化学的性状の解析を進める。これらの解析によって大腸癌バイオマーカーとしての有用なアンチセンスRNA候補を同定する。将来的には共同研究によってヒト大腸癌患者血清に特異的に検出されるアンチセンスRNAを同定する計画を立てている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の研究費は申請書の計画に従って使用する予定である。
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