2011 Fiscal Year Research-status Report
新規迅速遺伝子解析技術を用いたTSH受容体遺伝子変異診断法の臨床応用
Project/Area Number |
23790614
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
常川 勝彦 群馬大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (30436307)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 遺伝子診断 / 甲状腺 |
Research Abstract |
本邦のTSH不応症で高頻度に検出されるTSH受容体遺伝子(TSHR)におけるR450H変異は、日本人の成人においても潜在的に存在し、甲状腺機能の低下に影響している可能性がある。この変異の頻度を評価し、甲状腺機能との関連性を比較することで変異検出の重要性を評価すると共に、この変異を簡便に検出する試薬を作製することができれば本邦の甲状腺機能低下の原因診断に有用となる。本研究において、はじめに遺伝子変異を血液から直接、簡便、迅速に検出できる新規迅速遺伝子解析技術SmartAmp法を用いて、TSHRにおけるR450H変異を検出する試薬を作製した。複数のプライマーの組み合わせからスクリーニングを行い、野生型と変異型を明確に識別できるプライマーセットを選択した。これによりTSHR cDNAのほか、ゲノムDNA、血液を用いた変異の解析結果をダイレクトシークエンス法と比較することでSmartAmp法の試薬が正確に変異を検出するできることを確認した。 このSmartAmp法の試薬を用いて、これまでに甲状腺疾患の既往のない400例以上の対象者についてTSHR R450H変異の解析を行った結果、変異を有する症例が数例存在することが判明した。対象者の甲状腺機能および甲状腺自己抗体を解析し、甲状腺自己抗体およびR450H変異による甲状腺機能の変化について検討したところ、この変異は甲状腺自己抗体とは独立して潜在的に甲状腺機能の低下に影響している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度の研究計画は、TSHR R450H変異の診断試薬の開発と、甲状腺疾患を持たない対象者における変異頻度の評価としており、これまでの成果から計画はおおむね達成できていると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの対象者における変異頻度の評価を継続して進めるとともに、対象を甲状腺機能低下症の症例に広げて解析を進める。これにより、甲状腺機能や甲状腺ホルモンの投与量と変異との関連性を検討することで、日本人の甲状腺機能にこの変異が及ぼす影響を評価することを目標とする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
SmartAmp法で使用するプライマーや酵素などの遺伝子解析用試薬などの消耗品に研究費を主に使用する。また、成果発表のため、学会発表の旅費、論文の投稿費、印刷費などに使用する計画である。
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[Journal Article] Association between accumulation of visceral fat and the combination of β3 adrenergic receptor Trp64Arg, β2 adrenergic receptor Arg16Gly and uncoupling protein 1 -3826A>G polymorphisms detected by Smart Amplification Process 2.2011
Author(s)
Tsunekawa K, Yanagawa Y, Aoki T, Morimura T, Araki O, Ogiwara T, Kawai Y, Mitani Y, Lezhava A, Yanagawa M, Hayashizaki Y, Murakami M.
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Journal Title
Endocrine Journal
Volume: 58
Pages: 1079-1086
DOI
Peer Reviewed
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