2011 Fiscal Year Research-status Report
ヘパリン起因性血小板減少症の検査における分子病態解析と新規検査法の開発
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23790615
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
金子 誠 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (00377491)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | ヘパリン起因性血小板減少症 / 血小板 / 血小板凝集能 |
Research Abstract |
ヘパリン起因性血小板減少症(HIT)を臨床診断するために施行される検査法の1つに,血小板第4因子・ヘパリン複合体抗体(HIT抗体)抗体活性を測定する機能検査法がある.本邦ではヘパリン惹起血小板凝集試験(HIPA)などが用いられているが,特異度は高いものの健常者血小板の選択により感度が異なり,検出感度が低いことも指摘されている.我々は,HIPAにおけるHIT抗体の健常者血小板に対する感受性差異の機序を検討した.健常者6名(25-60歳)から多血小板血漿(PRP)を作成し,検査部に検体提出されHIT抗体陽性と診断された臨床症例残検体を用いてHIPAを測定した.HIT抗体陽性血漿は,ELISA法(PF4-Enhanced,GTI社)で,同一患者から得られたOD 3.5以上のHIT抗体強陽性の検体をプールして使用した.HIPAの反応に大きな差異(強陽性・陰性)があった健常者2例に関して,FACSを用いてCD32(FcγRIIA),PAC-1,CD62,Annexin Vを用いて比較したところ,PAC-1結合のみに反応の差(陽性例のほうが結合が大きい)が認められた.健常者検体すべてにおいてPRP(クエン酸採血)またはCTAD採血管血漿でのPF4・βTG測定を行ったところ,CTAD採血管血漿では大きな差がないが,反応性の強い検体に関してはPRP上清での測定値がより高い結果となっており,血小板活性化が鋭敏であることが示唆された.PRP上清のPF4・βTG値とHIPAにおける透過光曲線AUCには正の相関が認められた.HIT抗体との反応性の高い健常者血小板は反応しない血小板に比較して,検査を行う際の遠心や検体調整などの人為的操作に対して血小板活性化しやすい検体であった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
HIPAの感度におけるPF4・血小板受容体の役割を大まかにであるが明らかにできつつある.当初の計画通り,HIT抗体の健常者血小板に対する感受性の差異の機序は検討を行うことができた.健常者検体PF4の測定,フローサイトメトリーを用いた細胞表面抗原解析を用いた健常者検体血小板受容体の測定を行い,検査を行う際の遠心や検体調整などの人為的操作に対して血小板活性化しやすい検体が,感度良くHIT抗体を検出できることが示唆された.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,特に,健常者検体のHIT抗体で刺激の際に,PF4を添加した検体を作成しHIPAを行うことで差が出るか,検討する.低濃度,高濃度PF4,またIV.3(抗FcγIIaレセプター抗体で阻害抗体)を混和し,ヘパリン刺激でどうなるか観察する.これにより,感度が高まることによって臨床応用の可能かどうか,検査方法を改善できるかどうかを追究する. また,実際の検体を用いて,従来法との診断感度の比較などを計画している.全血で測定可能なスクリーンフィルター圧法のを用いてHIT抗体検出が可能かどうかを試みる.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
初年度に確立したPF4の条件を基に,HIPAの感度を改善した方法の検証を健常者検体のみならず,臨床症例検体の残検体などと比較し,検討を継続して行う.このため,その検査に関わる試薬代,物品代などに研究費をあてる.
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Research Products
(1 results)