2013 Fiscal Year Annual Research Report
ヘパリン起因性血小板減少症の検査における分子病態解析と新規検査法の開発
Project/Area Number |
23790615
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
金子 誠 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (00377491)
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Keywords | ヘパリン起因性血小板減少症 / 臨床検査 / 血小板機能検査 / HIT抗体 |
Research Abstract |
ヘパリン起因性血小板減少症(HIT )診断のための抗血小板第4因子・ヘパリン複合体抗体(HIT抗体)測定法のなかで,血小板活性化能を持つ本来の病的抗体を検出するためには機能的測定法を実施する必要がある.代表的なHIT抗体機能測定法である14Cセロトニン放出法(SRA)は,放射性同位元素の使用量により病院検査室での測定は敷居が高く,臨床応用が難しい.本邦ではヘパリン惹起血小板凝集試験(HIPA)などが用いられているが,特異度は高いものの健常者血小板の選択により感度が異なり,検出感度が低いことも指摘されている.そのため,感度良くHITを診断できる測定法の検討,またSRA測定法にかわる新たな検査法を確立するよう検討した. HIT抗体の健常者血小板に対する感受性差異の機序については,健常者6名(25-60歳)から多血小板血漿(PRP),ヒト健常者洗浄血小板を作成し,検査部に検体提出されHIT抗体陽性と診断された臨床症例残検体,マウスをもちいて作成したHIT抗体(モノクローナル抗体)を用いてHIPAを測定した.HIPAの反応に大きな差異(強陽性・陰性)があった健常者2例では,FACSを用いた血小板活性化の比較,検体作成時の血漿中のPF4・βTG測定から,反応性の強い検体に関してはPRP上清での測定値がより高い結果となっており,血小板活性化が鋭敏であることが示唆された.また,活性化血小板から放出されるセロトニンを生化学的に測定し,HIT抗体の存在が判定可能かどうか検討したところ,洗浄血小板からヘパリン惹起セロトニン放出はHIT抗体存在下で認められ,これらの反応は抗Fcガンマ抗体( IV.3 )とのプレインキュベーションおよびヘパリンの高濃度により抑制された.この検出法を用いても,機能的HIT抗体の判定が有用であることが示された.今後は,この測定法を臨床応用できるよう検証予定である.
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Research Products
(4 results)