2011 Fiscal Year Research-status Report
モラクセラ・カタラーリスの外膜蛋白質に関する薬剤耐性機構および病原性の解析
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23790616
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
齋藤 良一 東京医科歯科大学, 大学院保健衛生学研究科, 助教 (00581969)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | Moraxella catarrhalis / 外膜蛋白質 / 薬剤耐性 / 病原因子 |
Research Abstract |
Moraxella catarrhalisは小児中耳炎や老人の呼吸器感染症の重要な起因菌である。本菌に関連する感染症の予防および治療に貢献するため、発現量が多い主要な外膜タンパク質OMPCDに注目し、以下の実験を行った。平成23年度は(1)M. catarrhalisの臨床分離株におけるOMPCDのアミノ酸配列の決定、(2)温度、浸透圧、pH等の変化おけるOMPCDの発現解析、(3)ompCD遺伝子変異株の作製、および(4)走査型電子顕微鏡(SEM)による変異株の形態解析を行った。 M. catarrhalisは16S rRNA遺伝子の塩基配列によって3つの異なる遺伝子型(type I,IIおよびIII)が存在する。臨床分離株(32株)におけるOMPCDのアミノ酸配列を解析した結果、特定の遺伝子型(type IIおよびIII)でアミノ酸変異が多く認められた。この結果は以前の報告とは異なり、ワクチン開発に対する重要な知見であると考えられた。 OMPCDに対する抗血清を作製し、イムノブロット測定系を構築した。ストレス(温度、薬剤、塩濃度および酸)におけるOMPCD発現量をイムノブロットにて解析した結果、OMPCDはそれらのストレス環境下でも安定的に発現していることが確認された。そのため、OMPCDはワクチン候補として重要であることが再確認された。 OMPCDの抗菌薬や病原性に関わる機能を解析するため、ompCD遺伝子変異株を作製し、SEMを用いて形態解析を行った結果、親株と比較して変異株では菌の凝集や菌体サイズに変化が認められた。さらに菌体表面から小胞の産生が確認された。今回の結果からOMPCDが細胞形態に関する機能も有することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
OMPCDに対する抗血清やompCD遺伝子変異株が当初の予定より迅速に作製可能であったため
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は、親株とompCD遺伝子変異株を用いて、(1)透過型電子顕微鏡を用いた形態解析、(2)各種抗菌薬の薬剤感受性試験を行い抗菌薬耐性に関与するか解析する、(3)OMPCDの病原因子(細胞付着および血清耐性)としての役割について解析することを目的として研究を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の研究遂行のため、研究費は透過型電子顕微鏡の試料作製用試薬類、薬剤感受性試験を行うための抗菌薬、細胞付着試験や血清耐性試験に関連する試薬・消耗品等に使用する予定である。さらには学会発表や論文校正等に関わる費用にも使用予定である。
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Research Products
(2 results)