2012 Fiscal Year Annual Research Report
胸腹部大動脈瘤患者における血液凝固線溶異常の原因およびその意義
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23790618
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
林 朋恵 金沢大学, 大学病院, 医員 (10377393)
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Keywords | 大動脈瘤 / 凝固線溶異常 |
Research Abstract |
前年度に引き続き、金沢大学附属病院心臓血管外科、大竹裕志先生の御協力のもと、同先生外来通院中の胸腹部大動脈瘤患者をリストアップし、本研究への参加同意を確認の上、採血検査、および検体保存、および臨床側で必要と判断された間隔で施行されたCT所見の確認を行い、血管病変の臨床経過と血液凝固線溶関連検査の推移について確認した。 計64人の患者について採血およびCT画像による瘤の形態の推移を確認することが可能であった。患者内訳は、未治療経過観察患者11人、ステントグラフト内挿術後患者33人、人工血管置換術後患者26人(重複あり)であった。多くの症例が半年~1年間隔のCT検査のフォローアップとなっており、最長で2004年からの経過をさかのぼって検討が可能であった。未治療経過観察患者では緩徐に瘤径の増大がみられる症例がほとんどであったが、経過中2例に切迫破裂の状態があり、その前後では凝固線溶マーカーの上昇がみられていた。ステントグラフト内挿術患者では全般的に血小板数の軽度低下がみられ、エンドリークや切迫破裂が疑われた際に凝固線溶マーカーの上昇が先行あるいは同時にみられている症例が複数みられた。またステントグラフト治療後の経過で脳梗塞を発症した症例では脳梗塞発症前より凝固線溶マーカーの異常がより目立つ印象であった。人工血管置換術を施行した症例ではおおむね血液凝固線溶関連検査は安定しており、CT画像上も安定した経過をとっている症例がほとんどであった。全症例において瘤所見の経過を数値化の上、統計学的評価をすすめているが、凝固線溶マーカーおよび血小板数が瘤進展、特に切迫破裂の予測、およびステントグラフト内挿術治療後の合併症の予測に有用である可能性が示唆された。
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Research Products
(1 results)